データはさまざまな意味をもたらす
データを信頼できない――。
この数年、企業のシステムを巡る大きな潮流の一つとして、統合基幹業務システム(ERP)や顧客関係管理システム(CRM)などの基幹系で蓄積される情報、日々の取り引きではき出される各種履歴/ログデータを分析して、経営戦略に役立てようとする動きが見られる。いわゆるビジネスインテリジェンス(BI)であり、その中核となるデータウェアハウス(DWH)が大きく注目されている。
しかし、せっかくDWH/BIが導入されたのに、ユーザー部門の活用度合いはいっこうに上がる気配がない。なぜか。DWH/BIが提供するデータの“精度”がエンドユーザーの欲しているものではないから、だという。
毎日の企業活動で生み出されるデータは、企業にとってさまざまな意味をもたらす“金脈”のはずだ。しかし、その金脈を掘り出す手段を間違えると、ただ単なる土掘りの徒労に終わってしまう。DWH/BIに対する注目が集まるとほぼ軌を一にする形で、データをいかに統合すべきかが問われるようになっている。その解決策としてデータ統合基盤が求められるようになっており、その流れとして、古くて新しい課題とも言えるマスタデータ管理(Master Data Management:MDM)も再び注目されるようになっている。
ここでは、この12月からデータ連携・統合基盤ソフトウェア群の最新版である「Informatica 8.6」を日本市場に投入したインフォマティカ・ジャパンが11月に主催したイベント「エンタープライズ・データ・マネジメント・フォーラム2008」の“パートナーラウンドテーブル”と“ユーザーセッション”の内容からデータ統合を中心としたデータ管理を巡る動きを見てみよう。
SOAにはデータの統合が必要
パートナーラウンドテーブルには、インフォマティカのパートナー企業であるジール、NEC、富士通ソーシアルサイエンスラボラトリ(富士通SSL)、三菱電機インフォメーションテクノロジー(MDIT)の各担当者が登壇し、「今こそ情報を企業の競争力に―在るべき情報システムを探る」というテーマで議論を交わしている。
富士通SSLの青柳光範氏(第二産業流通ビジネス本部第四システム部部長)は、ユーザー企業の現状について、経営環境が厳しさを増しているとの認識を示している。そのためにユーザー企業のIT部門は「コスト抑制を強いられている」(青柳氏)。
コスト抑制という点に絡んで青柳氏は「データがバラバラでは、それだけ運用コストがかかることになる。その点からも、マスタデータの統合が必要になっている」と説明する。さらに青柳氏は、サービス指向アーキテクチャ(SOA)の適用、SOAのメリットを生かしやすいビジネスプロセス管理(Business Process Management:BPM)を導入することを考えても、マスタデータ統合の必要性はさらに高まることになると指摘している。
NECの白石雅己氏(第一コンピュータソフトウェア事業部グループマネージャー)は、ユーザー企業の現状について、こう語る。
「(IT部門が)基幹系システムから分析に必要なデータを現場に出すと、(ユーザー部門は)“あれも欲しい、これも欲しい”となってくる。もちろん、必要なデータを渡すことはできるが、(それには基幹系システムの)アプリケーションを改修する必要が出てくる。となると、時間がかかってしまうことになる。(そうした現状から)IT部門からは、“基幹系システムをいじらずにデータを取り出す方策はないか”という要請を受けるようになっている」
BIを中心としたシステムの構築を手掛けるジールの代表取締役社長の山本秀典氏は、データ管理に関連してBIに対する企業の関心の度合いについて、こう語る。