EIPには4つのプラットフォームが用意されている。散在するデータを統合するためのプラットフォーム「Data Integration」、分析専用のストレージのためのプラットフォーム「Intelligence Storage」、将来予測などのデータ分析機能を提供する「Analytics」、クエリやレポートから高度なデータ分析までをカバーする「Business Intelligence」だ。SASでは、EIPの中堅中小企業向けパッケージも10月に発表している。
そして、このプラットフォーム上で、さまざまなソリューションを提供するのがSASの特長だ。Davis氏が「SASは純粋なBIツールベンダーからは卒業し、ソリューションプロバイダーへと生まれ変わった」としているのは、同社が業務別、また業界別のソリューションを数多くそろえているためだ。
業務別のソリューションとしてSASが提供しているのは5つ。コストや収益性、予測的分析などのソリューション「SAS Financial Intelligence」、顧客情報を収集、分析し、マーケティング活動の効率化を図るCRMソリューション「SAS Customer Intelligence」、リスク管理におけるデータ管理、分析、レポーティング機能を統合し、管理環境を一元化する「SAS Risk Intelligence」、サプライチェーンにおける調達、在庫、品質保証、サービスの全体最適を実現する「SAS Supply Chain Intelligence」、情報資産のコストと価値を明確にする「SAS IT Intelligence」だ。
また、業種別では、銀行、保険、製造、医薬品製造、通信など、さまざまな分野に渡って、業界ごとに異なるアプローチやデータモデル、レポーティングテンプレートなどを提供している。
2006年にSASが生み出した売上高19億ドルを業界別に見ると、同社にとって最も大きな顧客は金融業界で、売上全体の40.3%を占めている。金融業界以外では、政府関係が14.4%、メーカーが10.9%、生命科学産業が8.9%、通信が6.6%、小売業が3.9%と続く。現在売上比率では3.9%とごくわずかな小売業だが、Goodnight氏はこの業界からの売上成長率に注目しており、この分野でのソリューションを充実させようとしている。
Goodnight氏は「SASの製品はすべて顧客ニーズに基づいたもの」と、顧客第1主義であることを強調する。同社では、顧客からの要望の上位10件はほぼ毎年実現しており、全要望の約8割に応えているという。「顧客の声に耳を傾けることこそがイノベーションの一番の方法だ」という信念を持ったGoodnight氏は、今後もSASという独立した企業で顧客ニーズに合った製品を作り続けていくことだろう。