ビッグデータ座談会 中編--“すべて”のデータが分析の対象になる - (page 4)

杉山貴章(オングス)

2011-07-15 11:00

山口:どんな分野でもいろいろな活用方法が考えられるので、特にこの業種、といったものはないかもしれません。

 たとえば、先ほど話に出てきたPOS系、あとは金融系ですね。顧客ごとに非常に細かいレベルでサービスが差別化されているので、そういった部分では大量データ処理がうまくはまると思います。

 他には、GPSによる位置情報を活用したい場合なども考えられますね。Hadoopではないですが、3年ほど前に、都市近郊でGPSを積んだ車を2000台走らせて、その走行データから得られる交通情報を日立のストリームデータ処理基盤を使ってGoogle Maps上に表示するという実証実験を行ったことがあります。リアルタイムな分析が必要なので、ビッグデータ処理の技術が生きる分野ではないでしょうか。

NTTデータの濱野賢一郎氏 NTTデータの濱野賢一郎氏

濱野:金融分野でのニーズはやはり大きい。商品の価値分析やリスク計算などは大量のデータを扱いますから。数年後の利益をシミュレーションするだけでも、多くの要素を含めた分析が必要です。特に、年数の経過を考慮するほど中間データなどが肥大化し、結果的にデータ量が爆発的に増加するという傾向があるんです。

 同じように、証券分野からの注目度も高いです。金融商品の性質は絶えず変化しているため、分析や統計が大変なんです。例えばその日の取引の結果を機関投資家などの顧客にフィードバックする場合でも、いかに多くの情報を素早く分析して、結果を可視化できるかが重要になってきます。従来は翌日にならなければ見られなかった情報を、うちは取引終了後1時間で出しますよということになれば、それが大きな武器になるわけですし、より緻密な分析結果を出せればこれが差別化になるわけです。それを支える技術としてHadoopに対する期待があります。

(後編につづく)

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