CES2013でもっとも存在感を発揮したサムスンのプレスカンファレンス
2013年1月8日〜11日まで米ラスベガスで開催された「2013 International CES」は、世界最大の家電見本市という名に相応しい盛り上がりをみせた。
展示会場では、4Kテレビや有機ELテレビ、最新技術を搭載したスマートフォンやスマート家電などが相次いで展示され、世界各国から数多くの業界関係者が会場を訪れた。
主催元であるCEAが先頃公表したところによると、開催期間中にTwitter上で「#CES2013」と「#CES13」宛につぶやかれたキーワードを集計した結果、ブランド別ではやはり韓国サムスンが圧倒的な強みをみせた。
全体の7%を占める35万1355件のつぶやきがあり、2位のヒューレット・パッカード、3位のソニーのそれぞれ4%を大きく引き離した。
特筆できるのは、プレスデイとして報道関係者向けの発表会(プレスカンファレンス)が集中的に開かれた開催前日だけのつぶやきを集計すると、サムスンは全体の11%を占めており、1割を突破していることだ。開催前からサムスンに対する期待感が多くの人から寄せられることを示すものとなった。
実際、サムスンのプレスカンフレンスでは、開催3時間前から報道関係者が列を作るという異例の状況。前年に比べて会場を広く設定したにも関わらず、最終的には会場に入れない報道関係者が相次ぐなど、サムスンへの注目ぶりを裏付けるものとなった。
開催前日に注目を集めたという点では、ソニーでも同様の傾向が見られる。
4位はセントラルホールの入り口に陣取るインテルで3%。そして意外だったのは5位に入った自動車メーカーのアウディだ。
続いてパナソニック、クアルコムと基調講演を行った企業が入り、LG電子、レノボ、NVIDIAと続く。
出展していないアップルが14位に入っているのも、同社の存在感を示すものだといえよう。
今回、展示を通じて感じたのは、各社が独自性を強く打ち出し始めたという点だろう。
パナソニックの津賀一宏社長も次のように指摘する。
「私自身、サムスン、LG電子、ソニーのブースを見たが、以前の展示内容とは異なり、皆が同じ方向を向いている、というわけではないと感じた。どんなアプローチを取ろうとしているのかが、各社ごとに変わりつつある」
パナソニックが訴求したのはBtoBの強みだった。コンシューマー向けの薄型テレビも展示していたが、目玉としたのは業務用途に限定した56型4K有機ELディスプレイ。そのほかにも、BtoBソリューションを数多く展示し、事業範囲の広さを訴求してみせた。
ソニーも同様に56型有機ELテレビを展示したが、特筆できるのはコンテンツへのこだわりだ。
ソニーは、4Kテレビに関しては発売済みの84型に続き、65型、55型を追加展示。4K X-Reality PROの搭載により、さまざまな解像度の映像を4Kの解像度で楽しむ提案や、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントの映画コンテンツを「ブルーレイディスク “mastered in 4K”」として、十数タイトルを今春から発売すると発表。さらに、4Kコンテンツの配信サービスを、今夏から米国市場において開始すると発表した。
ちなみに、ソニーの有機ELテレビでデモストレーションした画像には高い評価が集まっていたが、これもソニーならではのコンテンツへのこだわりが表現されたものだったというのが、同社ブースを訪れた業界関係者の意見だといえる。
一方、CES会場の展示を見て感じたもうひとつの傾向は、クラウドサービスなどと連携することにより、パーソナライゼーションの提案が進展していたことだ。
これは東芝やパナソニックなどの日本勢、サムスンやLG電子の韓国勢なども取り組んでいたものであり、その点ではハードウェアの革新よりも顧客のニーズにあわせた個別提案を行うためのインフラづくりに注目が集まっていたともいえよう。