2012年の「Windows 8」のリリースと2013年2月の「Surface Pro」の発売は、マイクロソフトを近年とは大きく異なる方へと方向転換させつつあり、今後10年の同社の戦略を決定づけるものになるだろう。
Microsoftの幹部は発売前にさえ、Windows 8は同社OSの「世代交代」であり、このようなことが見られるのはほぼ20年ぶりだと説明している。
MicrosoftはSurface Proで大きな賭けに出た
提供:Microsoft
そしてこれは、OSが出るたびに繰り返される、いつもの誇張表現だと考えるべきではない。Windows 8は、ユーザーインターフェースが一新されただけでなく、表向きには目立たない大きな変化がいくつも起こっている。その中でも重要なのは、Microsoftが今後、クラウドを重視していくという決断をしたことだろう。
Windows 8では、タッチ操作しやすい新しいインターフェース(旧「Metro」)が強調されている。新しいインターフェースは慣れるのに時間がかかり、従来のWindowsの見た目や使い勝手に慣れ親しんでいる多くの顧客に不安を与えるリスクがあることを考えれば、このような変更はMicrosoftにとって大きな賭けだ。
しかし、Windowsの見た目や使い勝手の変更(これはMicrosoftが提供するものの核だ)を、軽く見てはならない。
このインターフェースの変更は、Microsoftがスマートフォンやタブレットの世界から手掛かりを得たということを示している。他に選択肢がなかったことが、その主な理由だろう。PC業界が考えていたよりもずっと早く、一般消費者(そしてある程度は企業も)のテクノロジに対する優先順位が変わったのだ。
これまで市場は総じて均質であり、企業も一般消費者も(さまざまなスペックの)Windows PCを購入していたが、PC市場は分裂しつつある。
明らかなのは、消費者が形状(ノートPC、タブレット、スマートフォン)とOS(Windows、「Android」、「iOS」)をこれまでは不可能だった形で選択できるようになっているということだ。この変化が法人市場に与えている影響は今のところ小さいため、Microsoftは競争力を保ちながら一般消費者と企業の間にある大きなギャップを2つの方法、つまりソフトウェア(Windows 8)とハードウェア(Surface)で埋めようとしている。
Gartnerの調査ディレクターMichael Silver氏が強調するように、この原因は、もはやPCが平均的ユーザーのテクノロジ体験における中心的存在ではなくなったということだ。「数年前まで、PCは人々が体験するテクノロジの世界の中心だった。しかし、今ではスマートフォンやタブレットが中心になっている。PCの売り上げは不調だ。世界は変わり、Microsoftはスマートフォン市場やタブレット市場ではほとんどシェアを持っていない」
「Microsoftは変わる必要がある。だからこそ、同社は新しいインターフェースを導入し、スマートフォンやタブレット中心の考え方を取り入れ、それらの市場で競争しようと判断したのだ。これは、古いインターフェースの終わりの始まりだ」(Silver氏)