FacebookのMark Zuckerberg(創業者兼CEO)が中心となって4月に立ち上げた政治団体「FWD.us」(註1)から、Elon Musk(Tesla Motors、SpaceX両社のCEO)ならびにMuskのPayPal時代の同僚のDavid Sacks(Microsoftが買収したYammerのCEO)が脱退したというニュースがこの週末にわりと大きな話題になっていた(註2)。今回は、この話の根っこにある移民法改正の問題などについて少しまとめてみる。
FWD.usについては、この記事(FacebookのZuckerbergCEOら、政治団体「FWD.us」を立ち上げ 移民就労改革などを目指す)の説明にある通りで、活動の「主な目的は、移民法改革」。また、同グループのウェブサイトの「Our Suppporters」にある通り、Facebook関係者やいわゆる「PayPalマフィア」を中心にシリコンバレーで一目置かれるような起業家やVCがほぼ勢ぞろいという感じの豪華な顔ぶれで、そのこと自体が団体の立ち上げと同じくらい話題になっていたりもしたようだ(註3)。
「われわれ(米国)を前へ進めよう」というような名前のこの団体を通じて、Mark Zuckerbergが何を手に入れたいと考えているのか……。その本音のところがどうもよくわからない、というのが今回の話の主題。
米移民法改正問題をめぐる二つの側面
Zuckerberg本人がWashington Post(WP、註4)に出した寄稿記事の冒頭にも、米国の社会しか知らないのに、親が不法入国・滞在者であるためにきちんとした国籍が持てず、その結果教育や就労の機会を逸しているメキシコ人の子供のエピソードが引用されている(註5)。
ただし、共和党の若手のホープと目されるMarco Rubio(註6)や、あるいはオバマ再選に尽力したとされるタレントのEva Longoria(註7)といったヒスパニック系(キューバ移民の子)の人々が以前から力を入れて取り組んできている、こうした「米国人でありながら米国籍を持たない若者たち」の救済(あるいは、貴重な人的資源の活用)というのは、FWD.usにとってはあくまで狙いのひとつに過ぎず、実は「安い人件費で使えて、しかも頭も柔らかい、若い働き手がもっと欲しい」というのが企業経営者としてのZuckerbergの本音ではないのか……。
この関連の話題をいろいろと目にしているとそんなことを思わずにいられない。すくなくとも「Dream Act」という法案の成立を目指して、4月半ばに「The Dream Is Now」という取り組みを立ち上げていたLaurene powell jobs (故Steve Jobs夫人)などとは大きなスタンスの違いが感じられる。
[The Dream is Now]
(映画『不都合な真実』などを製作・監督したDavis Guggenheimがつくったドキュメンタリー)
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(Laurene powell jobsは、NBCのBrian Whiteが司会を務めるインタビュー番組「Rockc Center」にも登場して、移民法改正の必要性をアピールしていた)