第1回、第2回では、コンシューマライゼーション(消費者化)を背景に、個人利用では既に一般的な存在となったモバイルデバイスが全盛の時代に突入し、今後加速度的に企業においてモバイルデバイスが活用される見込みであることについて言及した。
モバイルの中でも特にタブレットやスマートフォンなどのスマートデバイスが必要とされるようになったわけと、スマートデバイスを活用できると思われる業種や職種、およびそれらの業種業態におけるユーザーニーズの変化とこれまでの課題について言及してきた。
第3回となる本稿では、「スマートデバイス導入における落とし穴」と題し、スマートデバイスを成功裡に導入するためのポイントについて、2回にわたり解説する。
スマートデバイス市場は、コンシューマライゼーションの波を受け、また先駆的に導入をした企業の成功事例に後押しをされ、急加速で拡大してきているのは、読者の皆様も想像に難くないのではないだろうか。
しかし、近年、ユーザー企業からこんな相談を頂くケースが増えてきた。
ユーザー企業からの主な相談
【導入前】- 現場部門からは導入したいというリクエストがある一方で、結局は紙カタログでないと営業としては意味がないと反発を受けている(ユーザー部門)
- いまのノートPCと何が違うのか良くわからないし、結局二台持ちになって重くて不便(ユーザー部門)
- やってみたい事は色々とあるが、どこから(どんな機能から)はじめるべきなのかわからない(情報システム部門)
- 利用者がなかなか使ってくれない又は、利用が定着していかない(情報システム部門))
- 導入はしてみたが、経営に効果を説明しろといわれても効果が良くわからない) (ユーザー部門)
タブレット稼働率 出所:タブレット端末利用動向調査2013よりDTC推計
こうした相談は、スマートデバイスの導入が第2世代を迎えたという事に他ならない。なかでも危惧されるのは、利用されているかどうかという事である。統計情報から稼動率を推計してみると、2013年時点では約57%と約半分は稼動しないという事実が垣間見れる。さらに、別の統計では、スマートデバイスを導入した企業の約半分は、導入効果がなかったまたは、効果があったかどうかわからないと答えている衝撃的なものもある。
では、せっかくのスマートデバイス導入がこうした状態に陥らないためには、どう対応すべきなのだろうか。