このペルソナを決定することこそが、その後の利用率、定着率を大きく左右するといっても過言ではない。ここでいうペルソナとは、スマートデバイスを利用する標準的な「ヒト」又は、これを利用することでもっとも効果をあげて欲しい「ヒト」を詳細に定義していくことである。この「ヒト」を定義する際に併せて行うのが、スマートデバイスを利用する際の「物語」である。ここでいう物語とは、利用シーンそのものである。
例えば営業マンの利用を想定している場合、1回の商談を「1.アポ取り」「2.訪問・挨拶」「3.アイスブレイク」「4.商品説明」「5.他社比較」「6.クロージング」と6段階のステップに要素分解し、商談時のスクリプト(物語)を設計し、具体的にどのシーンでタブレット利用させたいのか、何をトリガーとしてタブレットをお客様に見せるのかといった流れが不自然にならないような物語を作り上げることである。まるでドラマの脚本家になったように、細かくシナリオを作るのだ。
こうした入念な物語の設計は、ユーザーにPCや紙カタログとの違いを理解させ、なぜ、スマートデバイスを利用するのかについて納得感を与えやすくなる。さらに、物語をつくる過程は、どの機能が重要なのかをユーザーにも、SIなどの製造側にも理解させることができ、開発の優先順位を双方が合意しやすくなるメリットがある。
20代男性と50代男性とでは設計されるUIは異なる
また、ペルソナを詳細に定義していくことは、ユーザーインターフェイス(UI)の設計にも役立つ。例えば、料金見積機能のUIを設計する場合、20代男性と50代男性とでは、設計されるUIは異なる。20代男性でITリテラシーが高く、スマホなどのスマートデバイスを使い慣れている場合、ドラッグ&ドロップで見積を作れるようなUIのほうが望ましい。一方、50代男性でITリテラシーは低め、スマホはとりあえず持っているという場合、ドラッグ&ドロップという行為を直感的に理解し利用することは難しい。