モノのインターネットの衝撃

モノのインターネットの衝撃 - (page 2)

怒賀新也 (編集部) 田中好伸 (編集部) 2014年01月01日 00時00分

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世界経済に1兆9000億ドルの影響

 GartnerもIoTの可能性に注目している。12月12日に発表した予測では、2020年にモノに埋め込まれる通信ユニットの数は260億。この260億という通信ユニットの数にはPCやタブレット、スマートフォンは含まれていない。そして2020年の時点で、IoTに関連した事業者の売り上げは3000億ドルという。その結果として世界経済全体で1兆9000億ドルの影響を与えるという。

 日本法人ガートナー ジャパンのリサーチディレクターの池田武史氏は、IoTと比較して現在のインターネットを“情報のインターネット”と表現する。メールをやり取りするように情報を交換できるからだ。この情報のインターネットではPCやスマートデバイスが中心になる。PCやスマートデバイス以外のモノがインターネットに接続されるIoTは「PCやスマートデバイスに触っている人だけの世界ではなくなる」(池田氏)

 同氏はIoTを“モノゴトのインターネット”と表現する。この世界では、モノがつながり連携するとともにインテリジェンスが追加されることが重要という。例えばIoTの世界では、自宅に近付くとエアコンに自動的にスイッチが入り、その外気の状態にあわせて室内の温度が快適になるように調整されるといったことが期待できる。「単純につながるだけでは意味がない」(池田氏)わけであり、外気にあわせて温度を調整するというようなインテリジェンスが追加されることで、IoTは社会生活にメリットをもたらすことができる。

 IoTにはGeneral Electric(GE)も興味を抱いている。IoTという市場にはさまざまな企業が参入でき、その市場は大きく拡大することが予想できるからだ。モノ同士がつながり、インテリジェンスが追加されるIoTは全く新しい市場を作ることができる――。期待は高まっている。

IoTに期待を寄せるITベンダー

 予測される市場規模の大きさを見据えてか、シスコだけでなく、エンタープライズ系のIT企業は各社すばやい対応をとっている。Microsoft、Oracle、SAPなどに加え、Amazon Web Servicesなども関連技術で市場に参入しようとしている。

 センサ、モバイル、チップなどの端末、ネットワーク、複合イベント処理(CEP)、インメモリでの分析技術などの要素技術がある。このうち、焦点を当てるものに応じて、各社のIoTへの注力の仕方が異なるのが現状だ。ここでは、主要企業の動きを見ていくことにする。

マイクロソフトは技術者重視

日本マイクロソフトのエバンジェリスト、太田寛氏
日本マイクロソフトのエバンジェリスト、太田寛氏

 まずはMicrosoftだ。IoTにおけるMicrosoftの狙いの柱は2つ。自動車や家電をネットワークにつないで消費者の新たなライフスタイルを提案すること、もう1つはエンジニア市場だ。

 IoTがエンジニアに与える潜在的な影響力は大きい。今後数百億という単位の端末がネットワークにつながるということは、それぞれについて、制御するソフトウェアが必要になることを意味する。日本マイクロソフトでこの分野のエバンジェリストを務める太田寛氏によると、Microsoftはこのエンジニア需要を見込み、Visual Studioなどの開発ツールでこうした端末向けのソフトウェアを開発できる環境をアピールする考えだ。

 具体的には、小型の組み込み機器向けに開発した「.NET Micro Framework」が鍵を握るという。組み込みソフトウェアの開発といえば、テキストエディタとコマンドラインによるコンパイラを使った専門性の高いものというイメージがあるが、.NET Micro Frameworkにより、人の言葉に近いいわゆる高級言語の開発ができるツール「Visual Studio」で、C♯を用いて開発できる。

[ジョイスティックの操作を作り込んでいる]

 つまり、組み込み系の技術者ではなく、エンタープライズ系のソフトウェア開発者が、従来の知識の延長で組み込みソフトウェアを開発できるようになる。日本マイクロソフトで開発ツールのマーケティングを主導する相澤克弘氏は「C系の言語を持つ技術者をもっと生かす機会が欲しいというユーザー企業が多い」と指摘。Visual Studioでこのトレンドを拡大させることが、現在のMicrosoftが考えるIoTへの1つのアプローチだ。

オラクルはJavaとミドルウェア

 Oracleも、買収した旧Sun Microsystemsが持っていたJava周りの技術で、端末側からIoTに取り組んでいる。一方で、屋台骨のデータベース回りでも、無数のセンサ情報を収集し、複合イベント処理技術とインメモリによる高速分析基盤を用いて、例えば消費者のスマートフォンにその場に応じたショッピングクーポンを配るといったリアルタイムの取り組みを実現するための基盤に注力している。

日本オラクルのFusion Middleware事業統轄本部、杉達也氏
日本オラクルのFusion Middleware事業統轄本部、杉達也氏

 12月19日にZDNet Japanと日本オラクルが共同開催した「Javaが拓く"Internet of Things"の可能性」と題したイベントで、日本オラクルのFusion Middleware事業統轄本部、杉達也氏は次のように話した。

 「IoTが展開していくとき、まずは効率化のための活用から始まり、次に付加価値をつけるための活用、さらにデータを外部に公開し連携するようにステップアップし、最終的にはスマートシティと呼ばれるような社会インフラに発展すると考えられている。現状では多くが効率化活用から付加価値を付けられるかどうかの段階にいる」(杉氏)

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