Splunkは1月16日、2014年の国内ビジネス戦略に関する記者会見を開催。売上高やユーザー数、パートナー数をそれぞれ2倍にすることを目標にビッグデータやセキュリティ、学術の各分野にフォーカスしていくとした。
Splunkは2004年に設立された米NASDAQ上場のデータ解析ツールの専業ベンダー。「マシンデータをすべての人に届ける」ことを企業ミッションに掲げ、システムや端末が生成するすべてのデータを収集、検索、分析するための製品として、プラットフォーム製品「Splunk Enterprise」、クラウドサービス「Splunk Cloud」、オープンソースソフトウェアの分散並列処理プログラミングフレームワーク「Apache Hadoop」と連携する「Hunk」などを提供している。
Robert Lau氏
Splunkアジアパシフィック&日本地域担当バイスプレジデント兼ジェネラル・マネージャーのRobert Lau氏によると、ユーザー数はグローバルで約6400社。テレコム、金融、オンラインビジネスを中心としてテクノロジ企業、政府、教育機関などで利用されている。アジア太平洋地域では約1000社、国内では140社超という。インデックスするデータ量に応じて課金するライセンス体系で、最大ライセンスのデータ容量は200Tバイト超に達しているとしている。
「会計サービスで知られるIntuitもユーザーの1社で、2013年からSplunkを企業のデータ分析基盤として全面採用することを決めた。事業の効率化、スピードアップというブレークスルーを実現した事例だ」(Lau氏)
Splunkが対象にするデータは、いわゆるビッグデータのほか、セキュリティ分野でのログ解析やフォレンジックのためのSIEM(Security Information and Event Management)エンジンとしても活用できる。「事業成長のための情報分析、業務効率の改善、ガバナンス・リスク・コンプライアンス(GRC)といったCIO(最高情報責任者)が取り組む、さまざまな課題に対応できる」(Lau氏)という。
中村賢生氏
2013年11月にカントリーマネージャーに着任した中村賢生氏が国内展開の目標を説明した。国内では、マクニカネットワークスやNTTデータ先端技術を販売代理店として展開を開始し、2012年2月にSplunk Services Japanを設立した。ユーザー数は2011年が50社、2013年が78社、2013年は141社に成長した。
販売代理店は、伊藤忠テクノソリューションズ、バーチャルコミュニケーションズ、SCSK、日立ソリューションズ、富士通ソーシアルサイエンスラボラトリ、ソリトンシステムズ、プルーフポイントを加えた計9社となった。
「2014年の目標として、売上高を前年度の200%、顧客数も2倍を目標にする。そのために組織体制を2倍に拡張し、特に販売パートナーを早い段階で15社に拡大していきたい。パートナー向けサポートも一層強化する」(中村氏)
フォーカスする分野としては、ビッグデータ、セキュリティ、学術マーケットの3つを挙げた。セキュリティでは「2020年の東京五輪に向けて鉄道や空港といった社会インフラの警備やセキュリィ強化が課題になると考えている」とし、あらゆるマシンデータを収集し、高速に検索してセキュリティを確保するというニーズに応えるという。
ビッグデータでは、特にマーケティング領域での活用を念頭に置き、誰でも簡単に分析できる基盤として提案していく。学術では、Splunkを大学の教材などとして採用してもらう戦略だという。国内の大学と海外の大学が持つそれぞれのデータを連携させて研究に役立てたり、データ活用を担う人材の育成を支援したりていくという。
国内の事例としては、統合ログ監視システムにSplunkを採用し脅威を検出、解析している三井物産セキュアディレクション、スーパーコンピュータ「京」の数百ギガバイトのログ管理に利用している理化学研究所、エレベータの監視とデータ分析に採用し保守サービスの向上につなげている日立エレベータを紹介した。
Andy Ho氏
具体的な製品については、Splunkアジアパシフィック&日本地域担当プロダクトマーケティング・マネージャーのAndy Ho氏が、最新版である「Splunk 6」の特徴と、Hadoop向けSplunkであるHunkを紹介した。
Splunk 6の特徴は、前版とくらべて分析速度が1000倍向上したことだという。機能面ではピボットやデータモデル、アナリティクスストアと呼ばれる3つの機能が強化されたことで「現場の誰でも簡単に使えるオペレーショナル分析が可能になった」(Ho氏)としている。
Hunkは、Hadoop内のデータにSplunkの機能を活用することを目的とした製品であり、Hadoopクラスタを指定するだけで、Hadoop内のデータの調査、分析、可視化が可能と説明した。