日本IBMは2月4日、ソフトウェア事業の戦略説明会を開催した。同社の専務執行役員でソフトウェア事業を担当するVivek Mahajan氏は2013年のソフトウェア事業をこう総括した。
「IBM全体では4%減となったが、日本IBMは大きな成長を遂げた。ソフトウェア事業は好調であり、日本では他社のシェアを奪っている。特に日本ではデータベース、アプリケーションサーバ、クラウド基盤、セキュリティ、開発ツールといった基盤系ミドルウェアが2012年に引き続き好調であり、顧客から高い評価を得ている。PureDataとNetezza、SPSS、Cognosがビッグデータビジネスを牽引。SaaSビジネスが大きく飛躍した。SaaSは今後の成長を牽引するものになる」
同社は、2014年は“SMACS”に専心していく姿勢を改めて強調するとともに、国内で「Watson」を基盤としたビッグデータ解析関連ビジネスを推進していくことを明らかにした。クラウドへの志向強化、モノのインターネット(Internet of Things:IoT)を見据えた“Systems of Interacition(相互作用のシステム)”を重点領域と定め、営業、マーケティング、パートナー戦略などすべてでこれらを中心として施策を進めていく方針を示した。
ソーシャル、モバイル、クラウドなどへの対応を強化
SMACSは、Social Business、MobileFirst、Analytics/Big Data、Cloud、Securityの頭文字を表した“造語”。あらゆる製品を5つの領域に対応させていくことを重点化する。
日本IBM 専務執行役員 ソフトウェア事業担当 Vivek Mahajan氏
「IBMは過去5年間、これに沿って事業を推進してきた。2014年はさらに加速することになる。ソフトウェア事業だけにとどまらず、日本IBM全体がSMACSを最優先課題として取り組む」(Mahajan氏)と位置付け、製品のSMACS対応強化、SMACS領域での買収や提携の加速、SMACSに関する人材育成に取り組む姿勢をみせた。
コラボレーションツール「Lotus Notes/Domino」のソーシャル機能を強化した「Notes/Domino Social Edition」をはじめ「WebSphere Application Server」にオープンソースのPaaSソフト「Cloud Foundary」で利用可能な「WAS Liberty Core」、「DB2」にインメモリ技術を活かしたハイブリッドデータベース「DB2 BLU Accelerator」を追加。アクセス管理製品「Tivoli Access Manager」にモバイルやクラウドのアクセス管理機能を強化した「Security Access Manager for Mobile」をそれぞれ追加したことが例として挙げられた。
人材育成では、1月に全営業部門向けにクラウドとビッグデータに関する研修を実施。2月以降、SMACSをテーマとした教育プログラムを全ソフトウェア事業本部向けとビジネスパートナー向けの研修を展開する計画を明らかにした。
クラウドへの対応では、ハイブリッドクラウドを筆頭にBPaaS(Business Process As a Service)やPaaS、SaaSなどを整え、守備範囲をさらに広くしていく。
ハイブリッドクラウドでは、垂直統合型システム「PureSystems」のパターン技術をクラウド基盤「SoftLayer」に適用する。BPaaSでは、業務プロセスの定義や実行サービスの「IBM Business Process Manager on Cloud」、業務ユーザー向けにプロセス定義、簡易ワークフローを担う「IBM BlueWorks Live」をパブリッククラウドで提供する。
SaaSでは、コラボレーションサービス、SNSを融合させたソーシャルプラットフォーム「IBM SmarterCloud for Social Business」、人事管理アプリケーション「Kenexa」、分析アプリケーション「IBM Analytical Decision Management」、マーケティングを自動化する「IBM Marketing Center」などを用意している。
PaaSでは、インメモリ技術を活用した分析処理エンジンのBLU Accelerationにビジネスインテリジェンス(BI)ツール「Cognos Business Intelligence」の機能を統合したデータウェアハウス、開発環境「IBM JazzHub」、クラウド向けアプリケーション開発ツール「IBM BlueMix」をクラウド化して提供する。