――実際、デベロッパーコミュニティ向けの活動が活発化しているようですね。
Seligman:昨秋以降、22カ国75都市でデベロッパーコミュニティ向けのイベントを開催しました。いつもであれば、40~50程度の都市で開催するサイクルなのですが、今回は75都市で開催しており、それぞれの会場で平均100人規模の参加を得ています。テベロッパーが単に参加するのではなく、参加者同士の対話を通じて情報交換する積極性がみられています。
――コミュニティ向けイベントでのデベロッパーの関心はどこに集まっていますか。
Seligman:一番大きな反応は、(Salesforce1とHerokuのデータを同期させる)「Heroku Connect」ですね。これによって、2つの異なるデベロッパーコミュニティを融合することもできました。
Salesforce.com コーポレートマーケティングディレクター Quinton Wall氏
Wall:欠かせないのはオープン環境との連携です。Apache Software Foundation(ASF)との連携、PHP on HerokuとしてPHPを正式にサポート開始するといった動きによって、オープン化が加速しています。確かに、Salesfore1上ではJavaを利用している人が非常に多い。しかし、より多くのオープンソースとの連携も進めていきたいですね。
1対1を重視する日本
――ExactTarget Marketing Cloudの投入によって、どんなことが起きるでしょうか。
Seligman:どんな影響が生まれるのか、正直よくわかりません(笑)。
ただ、私は日本に何度も訪れていますが、そのたびに日本のサービスに感心します。日本人は人とのつながりに重きをおき、1対1でのサービスを重視する国でもあります。
そうした世界をデジタルチャネルを活用して可能にするのがExactTarget Marketing Cloudということになります。ExactTarget Marketing Cloudを使うことで、顧客とのタッチポイントを密にでき、ワントゥワンマーケティングを可能とします。日本の市場にとっても最適なものだといえます。
――ExactTarget Marketing Cloudの導入とともにも、Force.com、Heroku1、Exact Target Fuelという3つの開発プラットフォームを提供することになりますね。これでひとつの完成形となりますか。
Seligman:Salesforceでは、クラウドアプリの開発に必要なすべてを提供できます。確かに、Salesforce1プラットフォームサービスとしては、Force.com、Heroku1、Exact Target Fuelを用意したわけですが、Force.comは社員向けアプリを、クリック操作またはコーディングで作成でき、Heroku1は、洗練された顧客向けアプリを開発。そして、Exact Target Fuelはマルチチャネルを通じた、顧客と1対1の関係を構築できます。
これで開発プラットフォームがすべて揃ったのかというと、決して満足をしているわけではありません。われわれは常にイノベーションを追求していくことになります。これまでのすばらしいサービスに、さらにすばらしいものを追加していくことになります。プラットフォームは決して完成しない。常に改良し、常に使いやすくしなくてはならないと考えています。
古いアプリもモバイル対応に
――最新アップデートである「Summer'14」では、どんな点が特徴となりますか。
Seligman:Summer'14では、(ワークフローをコーディングせずに使える)「Visual Workflow」のCloud Flow Designerを提供します。Javaなどを使う必要がなく、プログラマーではない人もフローにアクセスできるものであり、洗練された高度なフローデザインを実現できます。クロスオブジェクト項目の自動更新やフローの中でのパブリッシャーアクションの活用も実現しています。
これによって、多くの人々が短時間に迅速にアプリを開発できるようになるでしょう。さらに、(ウェブアプリをSalesforceに統合できる)「Force.com Canvas」では、モバイルカードにアプリを追加でき、古いアプリもSalesforce1のモバイルアプリとして利用できるようになります。つまり、モバイルで使えないアプリが存在しなくなります。
Heroku Connectでは、(Herokuのデータベース出会える)「Heroku Postgres」とSalesforceの双方向同期を実現できますから、顧客情報はシングルビューのままで、使い慣れたプラットフォームからアプリを利用することができるようになります。
デベロッパーコンソールと呼ぶウェブベースの開発者コンソール、Force.comによるコマンドラインインターフェースに加えて、「Eclipse」ベースのForce.com IDEを新たに追加することで、開発者が好みのコーディングスタイルを選択できるようにします。また、Salesforce1のモバイルアプリの開発に、あらゆるJavaScriptライブラリを使うことができる「Mobile Pack」を提供します。
そのほか、今後の展開としては、JavaScriptベースのオープンソースフレームワーク「Aura」を投入します。これは、将来のSalesforceのユーザーインターフェース(UI)ライブラリになります。しかし、それによって、VisualForceがなくなるわけではありません。Auraを活用することで、より優れた次世代アプリを開発することができます。