ほとんどの人は「Google Glass」や同製品に関する話を何カ月も前から全く耳にしていないはずだ。そのため一部では、2012年に鳴り物入りで発表されたGoogle Glassは今も存在しているのか、このウェアラブルに未来はあるのか、という疑問の声があがっている。
筆者が自分のGoogle Glass(自分で購入したものだ。考えが甘いと思われても仕方がない)を最後に手に取ったのは、2週間前の週末のことだ。実は引っ越しの際に手に取ったのだが、保護ケースから取り出すことさえしなかった。梱包して、新居に移し、箱から出しただけだ。
Google Glassはどこへ行ってしまったのか。現状はどうなっているのだろうか。
Reutersも米国時間11月14日、同じ疑問を呈した。Google Glassのかつての広告塔で、責任者でもあるSergey Brin氏でさえ、同デバイスを着用していない姿を目撃されている(同氏は先ごろ、Google Glassをかけてビーチに出かけたが、メディアイベントでは着用しなかった)。
混雑したニューヨークシティの地下鉄で同氏がGlassを着用した日々は、遠い昔の出来事になってしまったのか。そうなのかもしれない。
Google Glassは約1年半前に登場して以来、ずっと放置されてきた。当初はバッテリ持続時間やアプリの不足といった問題を抱え、解決すべき特定のペインポイントもないままテスターや開発者に渡されたにもかかわらず、ウェアラブルテクノロジ分野に割って入った初の主要メインストリーム製品として、大いに賞賛された。
現在に話を戻そう。今やあらゆる企業とそのパートナー(と競合企業)がウェアラブルデバイスを開発している。現在のウェアラブルの大半は、手首に装着するタイプで、健康とフィットネスの難題を解決しようとしている。クラウドベースのサービスやデータアナリティクスと組み合わせることで、大量の総合的なヘルスケアモニターを自由に利用できるようになる。
Google Glassは現状では何も成し遂げることができていない。ただ、ヘルスケアや建設といった一部の垂直業界において、自ら現場に行けない人の目と耳になってはいる。
しかし、課題、方向性、開発者向けのロードマップを明確にし、公にしなければ(近年はこれがほとんどのスマートフォンプラットフォームの原動力になっている)、Google Glassは静かに終わりを迎えることになりそうだ。
ReutersはGoogle Glass向けアプリケーションを開発していた開発者を対象に調査を実施したが、その後、対象となった開発者の半数以上(16社中9社)が顧客の不足や現状のGlassのさまざまな制約を理由にプロジェクトを中止したという。Google Glassの生みの親で、自動運転車などの次世代技術開発を手がける秘密主義の「Google X」部門の統括者でもあったBabak Parviz氏が、2014年に同社を去って競合のAmazonに移ったとき、警鐘が鳴り響いた。
Glassプロジェクトは存続できるのか。Googleはできると考えている(当然そうだろう)。
Google Glassの事業運営を統括するChris O'Neill氏はReutersに対し、Googleは「ウェアラブルと、特にGlassが象徴する機会に、これまでと同様に大変なエネルギーを傾けている」と述べた。
米ZDNetはGoogleにいくつか質問したが、本稿執筆時点で回答は得られていない。
もしかすると、今は単に静かな時期というだけで、何も心配することはないのかもしれない。しかし、開発者がいなければ、Google自体のGlass開発も前に進まなくなってしまう。何と言っても、革新とアイデアの半分は開発者によってもたらされるからだ。
2014年も間もなく終わろうとしている。GoogleのBrin氏は2014年の発売を望んでいたが、それが実現する可能性は限りなく低いだろう。何らかの重要なニュースが届くのは、早くても2015年になりそうだ。
現状がどうであれ、Google Glassはまだ生きている。しかし(残念ながら)、その未来がどうなるのかは依然として不明だ。
提供:ZDNet/CBS Interactive
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。