つまりは、高度化するサイバー攻撃者の手口を素早く的確にとらえる技術を磨くことが、日本の喫緊の課題といえそうだ。
「新サービスはIBMにおける今後のPaaS戦略の目玉になるものだ」 (日本IBM Vivek Mahajan 専務執行役員)

日本IBM Vivek Mahajan 専務執行役員
日本IBMが先頃、PaaS「Bluemix」をシングルテナント環境で提供する「IBM Bluemix Dedicated」を提供開始すると発表した。同社 専務執行役員でソフトウェア事業を担当するMahajan氏の冒頭の発言は、同サービスの重要性を語ったものである。
Bluemix Dedicatedは、高いセキュリティと運用管理の負担を軽減しながら、ハイブリッドクラウドでアプリケーションやサービスの迅速な開発と実装を支援するため、ユーザー企業がサーバ、ストレージ、ネットワークなどを専有するシングルテナント環境を提供するのが最大の特徴だ。
Bluemixが当初から提供している価値に加えて、ユーザー企業専用のシングルテナント環境を提供することで、各種規制やコンプライアンスに対応。また、仮想専用網(VPN)経由やネットワークに直接接続することで、自社環境と同じように利用可能。さらにIBMが基盤やサービスの運用管理を行うことで、ユーザー企業はアプリケーションやサービスの構築に注力できるとしている。
この新サービスをはじめとして会見で説明があったBluemixの強化内容の詳細については関連記事を参照いただくとして、ここではMahajan氏が会見で語った新サービスにおけるIBMの価値に注目したい。
「ユーザー企業におけるイノベーションの加速を支援するためには、パブリッククラウド、プライベートクラウドとともに、ハイブリッドクラウドの選択肢を提供する必要がある。そこにIBMの価値がある」
Mahajan氏は新サービスにおけるIBMの価値をこう説明した。この新サービスのクラウド形態は、かねて「ホステッドプライベートクラウド」と呼ばれているものと同じだ。パブリッククラウドとプライベートクラウドのいわば“いいとこ取り”をした形態で、ユーザー企業がICT資産を所有しないことから「持たないプライベートクラウド」ともいわれる。
このホステッドプライベートクラウドについては、市場調査会社の間でも「今後のクラウド形態の主流になっていく」との見方が多く、激戦区になると見られている。
IBMはIaaS「SoftLayer」においてもこのクラウド形態に注力しており、さらに今回PaaSのBluemixについても本格的に乗り出した格好だ。ユーザー企業にとってパブリッククラウド以上に高い信頼性やサービスレベルを享受できるこのクラウド形態は、特にIBMの顧客層には広く受け入れられる可能性が高い。
Mahajan氏によると、実際、新サービスには多くの顧客からの強い要望があったという。同氏の冒頭の発言は、そうした手応えに裏打ちされたものといえそうだ。