クラウド業界で自分たちこそが最大の「アズ・ア・サービス」企業だと多数の大手企業が主張するなか、AmazonがAmazon Web Services(AWS)の財務情報を開示した。これで、クラウド業界の財務情報に関して欠けていた大きなピースが埋まった。
残念ながら、クラウド企業ごとに数字の積み上げ方が異なるので、勝者を宣言するのは困難だ。しかし、筆者は、一概に比較しがたいクラウド企業同士をあえて対決させてみたいという衝動を抑えることができないので、それを実際に試みることにした。
今回の試みでは、最大手のハイパースケールクラウドプロバイダー4社に注目する。AmazonとGoogle、Microsoft、IBMだ。さらに、無視できない存在のSalesforceなどの並外れたクラウド企業数社とOracleを加える。Oracleも他の企業と同様、さまざまなアズ・ア・サービス型のクラウドソリューションを上手く分割して、インフラストラクチャとプラットフォームにも対応している。複雑になるのを避けるため、各社を簡単に比較する今回の試みでは、さまざまなアズ・ア・サービス型ソリューションの売上高に注目する。
こうした変動要素を前提としたうえで、これまでに分かっていることを紹介しよう。
Amazon Web Servicesの年間ランレートは62億6000万ドルだが、AWSが今後数四半期成長しないと仮定するのでない限り、その数字は低い。Amazonの発表によると、AWSの2015年第1四半期の売上高は15億6600万ドルで、前年同期の10億ドルから増加したという。AWSの営業利益は2億6500万ドルだった。参考までに、Amazon全体の北米における売上高は134億ドルで、営業利益は5億1700万ドルだった。潜在的利益という点で言えば、Amazonはオンライン小売業者の仮面をかぶったクラウドインフラストラクチャプロバイダーである。2014年、AWSは50億ドル規模の事業だった。
Microsoftによると、コマーシャルクラウド事業のランレートは63億ドルだという。その金額には、「Microsoft Dynamics CRM Online」や「Office 365」「Microsoft Azure」などが含まれる。Mary Jo Foley氏が報じているように、Microsoftの決算発表に基づいてAzureの財務状況を判断するのは、それほど簡単なことではない。Azureは最も直接的なAWSのライバルだが、インフラストラクチャの面ではAmazonのクラウド事業より小規模だと言っても問題はないはずだ。