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「複写機やドキュメント処理を手掛けてきた強みを生かしてマイナンバー対応を支援したい」 (大塚商会 大塚裕司 代表取締役社長)
大塚商会の大塚裕司 代表取締役社長
大塚商会が先ごろ、2015年度上期(2015年1~6月)の決算を発表した。大塚氏の冒頭の発言は、その発表会見で、今年10月から個人番号の通知が始まるマイナンバー制度対応の支援に向けた同社の優位点について語ったものである。
同社の2015年度上期の連結業績は、前年度第1四半期(2014年1~3月)に「Windows XP」買い換え需要に伴うシステムの更新や消費税増税前の駆け込み需要といった「特需」があったことから、売上高および利益とも前期比4%余りの減少となった。ただ、第2四半期(2015年4~6月)だけをみると増収増益に回復しており、「まずまず順調に推移している」(大塚氏)という。
決算内容の詳細については関連記事を参照いただくとして、ここでは冒頭の発言にある大塚商会のマイナンバー対応に注目したい。
同社は今回の決算発表と同じ日に、マイナンバーの収集、保管、利用、廃棄の一連の業務プロセスを網羅した「らくらくマイナンバー対応システム」を9月1日から提供開始すると発表した。
このシステムでは、手書きされた調書・届書類を複合機でスキャンしデータ化。OCR機能を使って各書類に記入された社会保険番号などをキーとして読み込み、社員情報と紐付けを行ってマイナンバー付きの調書・届書類を出力する。
一般の事務担当者は手書き書類のデータ化までを行い、マイナンバー取り扱い担当者のみがマイナンバー付き書類の出力を行うといった分業が可能になる。導入企業では情報漏えいのリスク軽減につながるとともに、一般の事務担当者の現行の業務を大きく変えることなく、マイナンバー取り扱い担当者の負担を軽減することができるとしている。
廃棄のプロセスでは、保管期限を過ぎたデータの削除に加えて、紙で出力され、保管されている書類も廃棄の対象となる。さらにこのシステムでは、キャビネットなどに保管したマイナンバー付き書類に関しても適切な時期に廃棄を促す通知を行い、確実な廃棄作業をサポートするという。
会見でこのシステムの特長を説明した大塚氏は、さらに次のように語った。
「マイナンバー対応そのものは、お客様から見るとコストになるので、そのベースとなるインフラ環境を生かして、コスト削減とともに業務の生産性向上につながるようなソリューションを合わせて提案してきたい」
このコメントに続いたのが、冒頭の発言である。さらに同氏は、「当社では99万社の顧客基盤を保持しているが、その8割が中小規模のお客様だ。マイナンバーは企業規模に関わらず対応しなければならないので、しっかりと支援していきたい」と力を込めた。同社ならではの「攻めのIT」に向けたソリューション提案に注目しておきたい。