デジタル化の潮流の中、ITを活用したイノベーションへの期待が高まっています。企業内唯一のIT専門家集団であるIT部門は、ビジネスの最前線におけるイノベーションにどのような役割を果たすべきなのでしょうか。
イノベーションに必要な組織機能
これまでのIT部門の役割は、経営者や事業部門の戦略・課題を受けて、それを実現・解決する手段を提供することに主眼が置かれていました。この段階においては、IT部門は経営者からの経営方針や経営課題を踏まえ、事業部門の課題やニーズに対応して、その解決策や実現手段となる情報システムの企画・開発・運営を担当するという役割でした。
しかし、モバイルやクラウドといった技術革新の潮流は、企業の経営やビジネスのあり方に大きな影響を及ぼしています。従来の企業ITの進展は成熟段階に向かっており、今後はコンシューマーITの進展や社会インフラのデジタル化などの潮流が、さらに経営やビジネスに大きな影響を及ぼしていくことが予想されます。
顧客との関係のデジタル化はマーケティングのあり方を変え、社会・産業のデジタル化はモノづくりや物流を大きく変容させていく可能性を秘めています。オープンデータやIoT(Internet of Things)などの新潮流によって新たなビジネスが創造されるかもしれません。
こうしたデジタルイノベーションを実現するためには、IT部門の拡張機能として位置づけられるか、別部門を設置するかを問わず、企業はこれに対応する機能を保有することが求められます。
(出典:ITR)
デジタルイノベーションを実現するためのチームは、経営者に対してデジタル化を推進することで実現されると考えられる将来像を提示し、理解とコミットメントを得ることが求められます。また、事業部門の課題や変革ニーズを理解した上で、適切なデジタル技術やその活用方法について能動的な提案を行い、変革を促すことが重要なミッションとなるでしょう。