広域でも安定した通信品質のSDN基盤技術を開発--実環境で検証

NO BUDGET

2016-03-15 16:47

 NEC、NTT、NTTコミュニケーションズ(NTT Com)、富士通、日立製作所の5社は、アプリケーションが必要とする品質や利用状況に応じて広域ネットワーク上の資源を動的に確保するソフトウェア制御ネットワーク(Software-Defined Networking:SDN)の基盤技術を世界で初めて確立し、実際の広域な環境で検証した。3月10日に発表された。

 プロジェクト「Open Innovation over Network Platform」は総務省の「ネットワーク仮想化技術の研究開発」として委託。全体コンセプトである「Open(オープン性)」「Organic(有機的)」「Optima(最適化)」から「O3プロジェクト」という愛称がつけられている。世界初の広域SDN実現を目指し、2013年6月から5社共同で研究開発を進めてきた。

 現在、ネットワークで利用されるデバイスやアプリケーションは多様化し、同時利用可能な帯域、制御の遅延、安全性や信頼性などの異なる品質要件のすべてをベストエフォート型の同一ネットワークで実現することは困難と指摘されている。このため、モバイルネットワークやインターネットなど広域ネットワーク上にある資源をアプリケーションの要求品質や利用状況に応じて動的に配備、利用できる技術が求められていると説明する。

 現在、企業やデータセンターでは、資源を動的に配備をするため、物理ネットワークを論理的に多重化する仮想ネットワークが利用されているが、複数の通信事業者やサービスプラットフォーム事業者にまたがるマルチレイヤ・マルチドメインの広域ネットワークでは、仮想ネットワークが実現されていない。

確立した技術の全体像
確立した技術の全体像(富士通提供)

 今回確立された技術では、複数の通信事業者やサービスプラットフォーム事業者にまたがるマルチレイヤ・マルチドメインのネットワークの上にさまざまなアプリケーションの品質要件を満たす広域な仮想ネットワークをオンデマンドに構築したり、アプリケーションの変更、利用者増加など利用状況の変化に対しても、動的に資源を用意することで品質劣化を防止する安定したネットワーク環境を提供したりできるようになる。

 さまざまなアプリケーションの品質要件を満たす広域な仮想ネットワークのオンデマンドに構築、利用状況に応じて品質劣化を防止するために構成を変更できるようになるという。今回、「共通制御フレームワーク」「マルチレイヤ・マルチドメイン統合制御」「仮想化対応SDNノード」の3つの技術を開発した。

共通制御フレームワーク技術

 無線や光、パケットなどで構成されるマルチレイヤと運用主体の異なるドメインにまたがるマルチドメインで構成される複雑なネットワーク構成を構造化し、広域な仮想ネットワークを統合的に構築、運用できるという。

 具体的には、マルチレイヤ・マルチドメインのネットワークで構成される仮想ネットワークの制御構造をデータベース化し、データベースで仮想ネットワークを可視化するとともに構築や制御のさまざまな処理内容を物理ネットワークを構成する機器に対する処理に自動変換し実行する。

 広域な仮想ネットワーク環境で転送データのリアルタイム解析によるセキュリティ強化、トラフィック分散でスループット向上、冗長化による信頼性向上などの付加価値機能をアプリケーションごとに実現できるとしている。

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