海外コメンタリー

オラクルとセールスフォースのAI--それぞれの優位性と展望 - (page 3)

Doug Henschen (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2016-09-27 06:00

 Oracleのアプリケーションは、ルールベースではなく、バッチ指向でもない。新たな洞察やコンテンツ、オファー、アクションが個別のやり取りのなかで、クリックの都度、生成される。同社によると、(データ科学者だけでなく)業務ユーザーが自動化された洞察やオファー、リコメンデーションの根拠に対する優先順位をチューンアップしたり、その重み付けを変えられるような管理統制機能をアプリケーションに搭載することで、ブラックボックス化を避けているという。

 OracleのAdaptive Intelligent Applicationsは実際のところ、個別のアプリケーションとなっているが、同社の既存アプリケーションクラウドと連携するよう統合される。同社の公表したロードマップには、「Oracle Customer Experience(CX)Cloud」における「Adaptive Intelligent Offers」と「Adaptive Intelligent Actions」、「Oracle Human Capital Management(HCM)Cloud」における「Adaptive Intelligent Candidate Experience」、「Oracle Supply Chain Management(SCM)Cloud」における「Adaptive Intelligent Planning & Bidding」、「Oracle Enterprise Resource Planning(ERP)Cloud」における「Adaptive Intelligent Discounts」という、数にすると控えめながら5つのアプリが挙げられている。ただ、アプリの一覧として短いものの、幅広い分野を網羅しているうえ(SalesforceのCRMに対するフォーカスよりもずっと広い)、今後さらに多くのアプリが登場するのは間違いない。

 Oracleはリリース日に関しても保守的であり、公式発表によるとリリースは「向こう12〜18カ月の間」だという。また、さまざまな幹部に話を聞いたところ、CX Cloud向けのアプリは2016年中に、他のアプリも2017年半ばまでに登場するだろうということだった。

 Adaptive Intelligent Applicationsを支える重要な資産は、「Oracle Data Cloud」(ODC)に蓄積されているウェブスケールのデータだ。BlueKaiDatalogixAddThisCrosswiseの買収によって築き上げられたODCには、(匿名化されているが取り扱い可能な)数十億件にも及ぶコンシューマーのプロファイルが保持されている(Oracleの最高技術責任者(CTO)Larry Ellison氏はOracle OpenWorldにおいて、「Facebook(が保有する件数)よりも多い」と述べている)。またODCは最近、B2B関係の顧客のプロファイル4億件と、米国企業の情報1億件を追加し、B2Bデータの充実を図っている。Oracleはこれらデータをマーケティングの観点から深く分析、理解できているため、CX Cloud向けのアプリ(Adaptive Intelligent OffersとAdaptive Intelligent Actions)が最初に登場するというわけだ。またOracleは、世界各地の19のデータセンターを含め、クラウドに大きく投資してきている。そしてOracle OpenWorldの基調講演でEllison氏は、打倒Amazonサービスと表現したもの、すなわち競争力の高い新たなIaaSサービスに焦点を当てていた。

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