三菱電機、グループ社員約14万人が活用する「グローバルIT基盤」を構築 - (page 2)

大河原克行

2016-10-22 07:00

 グローバルIT基盤強化の狙いとして、木槻執行役員は、「サイバー攻撃対策の強化」、「情報共有/コミュニケーションの効率化」、「IT基盤提供の迅速化」の3点をあげる。

 グループ全体のセキュリティレベルの底上げとウイルス感染時の情報漏えいを防止する「サイバー攻撃対策の強化」では、「これまでは簡単端末の特定に時間がかかっており、またどうして感染したのかもわからないという状況が一部に生まれていた。

 また、ファイルが搾取された場合にも、情報が漏えいしないための対策が取られているかという点にも課題があった」とし、「端末情報の一元管理と、自動的に暗号化する技術を採用することで、重要情報の適切な管理を行えるようにした」という。

 三菱電機グループでは、国内外300拠点で、19万台の端末が利用されており、これらを一元管理。セキュリティパッチの自動適用と、ウイルス感染の集中監視および自動検知を、昨年度から実装を開始。今年度中に、19万台への対応を完了するという。また、機密性の高い重要情報の保護については、確実なユーザー認証、適切なアクセス制御、自動暗号化および証跡管理を行うサービスを提供。2017年度中にグローバル規模での実装が完了するという。

 「三菱電機グループの事業のなかには、防衛関連事業、宇宙事業などもあり、標的型攻撃に狙われやすい環境にあるともいえる。これまではメールサーバーを、工場ごとやグループ会社ごとに設置していたという背景もあり、高い水準でセキュリティレベルを保てないという課題もあった。

 セキュリティレベルを高めるには、グローバルIT基盤の統一は必須だと考えた。これまでの自前のセキュリティ対策では、すべてに対応できるのかという課題も生まれてきた。これは多くの企業に共通したものであろう。社外のネットワークにファイルが持ち出された途端に、読めなくなるといった仕組みも必要。社内向け、社外向けシステムを含め、サイバー攻撃対策の継続強化を進める」とした。

 グループ間の拠点の効率化を行い、事業間連携のさらなる強化を行う「情報共有/コミュニケーションの効率化」においては、「いつでも、どこからでも、安心して、快適に利用するIT環境による、業務とコミュニケーションの効率化を目指す」とし、「仕組みの標準化とグローバルでの可用性向上が必要である。そのためには、グローバルでのツールの統一と、24時間365日のサービス提供が必要。また、コストを抑制した段階的な導入も重要な要素」だとした。

 ここでは、Office 365を導入。情報共有には、SharePointを活用するとともに、メールや予定表にはExcahngeを採用。コミュニケーションにはSkype for Businessを利用しているという。また、これらのコミニュケーション基盤に対して、三菱電機独自機能として、上長承認機能やファイル持ち出し時のファイル暗号化機能などを実装。これをMicrosoft Azure上で稼働させている。

 上長承認および自動暗号化は、2016年度から展開を始めており、すでに51拠点、2万人が利用できるようになっている。さらに海外拠点については、2017年度から展開を開始し、2020年度までにはグループ全体への展開を完了するという。今後は、スマートフォンの活用拡大を視野に入れており、BYODの導入も検討しているほか、この仕組みを使った在宅勤務にも取り組むことになるという。

 「これまでは、事業部門や拠点ごとに、それぞれに独自のコミュニケーションツールを導入しており、結果として、部門をまたいだコミュニケーションが取りにくいという課題があった。コミュニケーションを活性化するには、ツールの統一は重要な要素。拠点、会社、国をまたいだリアルタイムでの情報共有およびコミュニケーションにより、従業員の業務生産性の向上と働きやすさをサポート。グローバル環境に対して、24時間365日の対応が可能になる」とした。

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