Dr.津田のクラウドトップガン対談

クラサバ大市場のクラウドへの大移動への対応 - (page 2)

津田邦和(工学博士、NCRI会長) 2017年02月01日 08時08分

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背景の解説

(1)周辺システムから大きな市場である基幹系への展開

 1995年前後から始まったクラウドのイノベーションは、第1次の展開としてネットワークを活用したコンピューティング利用として普及が始まりました。この時期は顧客管理などの特定のアプリケーションに限定されていました。

 次に第2次の展開としてCPUの性能向上により2005年前後から、基盤側の仮想化が本格化した時期がありました。それにより、マルチテナントによる低コスト化が本格的に進展しました。

 第3次の展開としては、2008年前後から2010年にかけてスマホが急増したことにより、端末の多様化と台数の巨大化が始まり、クラウド市場の本格的な拡大が始まりました。

 しかしここまでは、IT市場で最も大きな金額占有率となっている「業務システムの基幹系」はまだ多くありませんでした。ところが、技術的・ソリューション的な変化・改善があり、最近になってIT市場の主戦場とも言える「業務システム基幹系」のクラサバ市場に少しずつアプローチが開始されています。

 これは第4次クラウド市場展開と言えるのかもしれません。もとより、業務システムの基幹系は単価も件数も大きな市場であり、IT産業にとっては地味ではありますが、大きな影響があります。そのため、従来のオンプレミス型の業務システムをクラサバで提供していたいわゆるSIベンダーにとって、いよいよ影響が出てくることになりそうなのです。

 また、この流れの要因となっていることとして、当然ながらクラウド事業者側もこの大きな市場に強い興味と意欲を持っていることが挙げられると思います。誰しも高い付加価値を求めるのは自然な成り行きなのです。

(2)技術変化と顧客の世代交代

 この業務システム基幹系へのアプロ―チの予兆は、2つの変化も要因となっていると考えられます。

 1つ目は、クラウドを支える技術やソリューションの変化です。従来のクラウドでは、コストの安い仮想化基盤(PaaS)は利用したいが、自分のデータやストレージまでを他人と同居する仮想化サーバに置きたくないことから、ハイブリッドクラウド、すなわちPaaSとクラサバの二重のシステム利用を余儀なくされる例が多くありました。

 これは当然ながらコスト増になります。しかしこれへの解決の糸口が見えてきたのです。まだ一部の大手ベンダー(現在の情報だと2社)ですが、PaaSを利用しながら物理サーバを選択可能となっており、クラウド上で両方を使えるのです。

 さらには、業界をリードしているDBベンダーが、一部のPaaSベンダーに同一基板上にライセンスを開始したのです。これらによって、クラサバ基幹系のクラウド移行は徐々にですが加速していくものと思われます。

 2つ目には、顧客側でクラウドを理解する人口が増加してきたことがあります。当然、効率化効果の大きい基幹系に活用することを意識し始めています。そもそもクラウドが始まって20年になって世代交代が進み、クラウドファースト世代が顧客の情報システム責任者や中堅企業のトップになっている例が多いのです。

 彼らは、ITリソースを手元に置くことにリスクがあることを知っており、基幹系システムをクラウドにすることはそれほど躊躇(ちゅうちょ)がありません。よって、上記の技術やソリューションの変化も手伝って、業務システム基幹系のクラウド化(一部PaaSで一部ハウジング物理サーバ)が進む兆しがあるのです。

(3)CIerの出現と彼らの事情

 業界では、クラウドを中心に掲げて顧客のIT環境を形成することをビジネスとする「クラウドインテグレータ」(略してCIer)が出現しています。彼らはIoTやAIやコンテンツ配信など以外に、顧客の数が多い業務システムへのアプローチを加速しています。もちろん最初は周辺システムでしたが、最近上記のような理由で「基幹系業務システム」へのアプローチが可能な状況が発生しています。

 このCIerは、Salesforce.comやAmazon、現在ではAzureやBluemixの市場展開において生まれてきました。A社さんの顧客にも、1つのパターンとして、周辺システムで顧客に入り込み、基幹系を狙うことは当然の戦略だと思います。

 特に、顧客側が従来のオンプレミス型のSIベンダーがクラウドに詳しくないとみると、彼らCIerを呼んで情報交換をするという行動をとる場合があり、彼らのチャンスとなるのです。それが商談戦術の常套手段となりつつあります。

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