なぜ、公開するのか
このように始まったOSSですが、なぜソフトウェアを公開するのでしょうか。
ソフトウェアの開発の動機は、自らが必要に迫られて開発した、単なる趣味で開発した、業務を実行するために必要であるなど、いろいろあります。中には、既に存在するOSSから派生して新しくプロジェクトを始める場合もあります。
ソースコードを公開することで、ダウンロードして多くの人に利用してもらえるということもありますが、利用する上で問題が発生した場合、その問題を報告してもらえることで、そのソフトウェアの不具合が明らかになります。中には、その不具合の修正内容を付けて連絡してくれる場合もあります。
このように、ソフトウェアの品質が向上していくことになります。また、新しい機能の提案やソースコードを送付してもらうことにより、そのソフトウェアがますます使いやすくなってきます。
そうなると、利用する人もどんどん増えていくというサイクルができていきます。このようにエコシステムができてくることが、ソースコードを公開することの一番のメリットではないでしょうか。
最近では、企業内で開発したソフトウェアを公開することも増えてきていますが、その中には、外部の力を利用してそのソフトウェアの機能や品質の向上、さらには知名度の向上を図っている場合もあるようです。
コミュニティのライフサイクルについては、「OpenOfficeの終焉にみるOSSコミュニティのライフサイクル」をご参照ください。
誰が開発しているのか
「OSSはボランティアが開発しているのか?」にもご紹介したように、最近は大手企業の技術者が業務としてOSSの開発をしているケースが増加しており、OSSはボランティアが開発しているものだという先入観を覆すような状況になってきています。
最近話題のディープラーニングのフレームワークやブロックチェーンなどでも主要なソフトウェアは同様に企業の技術者が中心となってOSSとして開発しています。特に最先端の技術分野では、技術そのものの研究や普及を加速することを目的として、積極的にGoogleやAmazonのような企業が自社開発したソフトウェアをOSS化しています。