AIベンチャーのエクサインテリジェンスと介護×AIを展開するデジタルセンセーションが2017年10月にも合併する。超高齢化など社会の課題解決にAIを活用する有力なAI企業を目指し、経営統合に踏み切ったという。
統合後の存続会社となるエクサインテリジェンスの社長に就く予定のデジタルセンセーション取締役COOの石山洸氏は、AIプラットフォームの提供開始により、製造と医療中心だったAIソリューションの品揃え強化とAI活用の普及を図っていく考えを明かす。
AIソリューションを拡充するエクサインテリジェンス
リクルートを退社した石山氏がデジタルセンセーションに入ったのは、今年3月のこと。受託開発から自社商品の開発、提供へと転換するため、石山氏の移籍とともに構造改革に必要な資金をこの5月に調達した。調達先の1つのベンチャーキャピタル(VC)の代表が、エクサインテリジェンス会長兼社長の春日真氏だったのが縁になった。
「両社は別々の道を歩んできたが、共通の思いがあった」(石山氏)。テクノロジをどう生かすかにフォーカスしていること。簡単に言えば、AI技術の研究開発ではなく、AIを活用して、社会の課題を解決したり、新しいビジネスを創り出したりすること。その適用領域を広げるとともに、提供するサービスの拡充が経営統合の狙いの1つだという。
DeNA元会長の春日氏が2016年2月に立ち上げたエクサインテリジェンスは、京都大学や大阪大学出身のAIエンジニアを中心に、主に製造業と医療業界向けAIソリューションを提供する。わずか創業1年半の間に、自動車メーカーとは物体の状態検出、エネルギー会社とは設備の腐食部の自動検出、医療機関とは心臓狭窄の診断支援システム、といったAIソリューションを開発する。人材マッチング、飲食店向けシフトスケジュール管理にもAIを組み込んだりもした。
加えて、それらソリューションをベースに開発したAIアプリ開発に必要な学習済みモデルのAIプラットフォームexaBaseの提供を8月末に開始した。異常検知など14種類の活用シーンと、画像・動画解析など5種類の利用技術を用意するexaBaseは、AIアプリの開発期間を半減させるなど、AI導入を加速させるものだという。AIエンジニアが不足する中で、経営などに携わる者らにAI活用をイメージしやすくし、AI活用を普及させるものでもある。