「スマホは作らない」--ソフトウェア企業に転身したBlackBerryのEoT戦略 - (page 2)

國谷武史 (編集部)

2017-10-16 06:00

 企業のモバイル活用が本格化し始めた2000年代後半、まず求められたのは端末の管理や盗難・紛失対策を中心とするモバイルデバイスマネージメント(MDM)だった。当時のMDMはBlackBerryや携帯電話事業を手掛けていたNokiaなどから提供されてはいたものの、iPhoneとAndroidの企業導入が進むについて参入が相次ぎ、現在は国内だけでも数十社が提供している。

 企業のモバイル活用が進むと、端末だけでなくアプリケーションやコンテンツの管理・保護も行うEMMに発展した。Crighton氏は、「2016年頃まで私が担当する仕事の8割がMDMやEMM関連だったが、現在はさらなる高度な管理やセキュリティを可能にするEoTにシフトしている。海外の大手企業もここにシフトしているが、日本はまだMDMが主流だ」という。

企業向けモバイルソリューションのステップ''
企業向けモバイルソリューションのステップ。現在はスマートフォンやタブレット主体からIoTをカバーするものに移行しつつあるという

 「例えば、スポーツ用品メーカーのNikeは、アジア各国の製造拠点に製品の開発情報を展開する上でBlackBerryのプラットフォームを採用している。製品の情報をEnd to Endで守らなければ、情報流出によって偽造品が作られ、ビジネスに深刻な影響をあたえかねないためだ。日本の大手顧客も海外の拠点にBlackBerryを導入しているが、国内にどう展開するかを模索している」

 こうした状況で日本市場についてCrighton氏は、政府が推進する働き方改革が同社の商機になるとみる。「柔軟で生産性を高める多様な働き方の実現とセキュリティの両立が必要だが、この点でBlackBerryには深いレベルまでセキュリティを確保するノウハウと生産性を高めるアプリケーション群や開発環境がある。今後は日本でもモバイルの高度な活用が進むので、BlackBerryの強みを発揮できるだろう」

 Crighton氏は、企業におけるモバイル管理の高度化ニーズと並んで、IoT分野でも取り組みを加速させているとし、BlackBerryが2010年に傘下に収めた組み込み機器向けソフトウェアのQNXの展開も強化していく考えだという。

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