山谷剛史の「中国ビジネス四方山話」

テンセント、ゲームの世界にも信用スコアを導入

山谷剛史

2018-04-10 07:30

 「信用社会」を目指す中国で、ネットユーザー各人が信用に値するかどうかを示す「信用スコア」の普及が進んでいる。中でもアントフィナンシャルによる「芝麻信用(ZHIMA CREDIT)」が有名だ。

 芝麻信用については2015年に掲載した「中国の社会信用スコア「芝麻信用」で高得点を狙うネットユーザー」という記事に詳しく書いた。現状、芝麻信用はより多くのサービスに対応し、例えば芝麻信用のスコアが一定以上であれば、レンタルサービスやシェアサービスでのデポジットが不要になったり、中古買取で買取センターへの商品送付前に買取金額が振り込まれたりといった優遇サービスが見られる。

 ところで中国IT企業最大手にしてゲーム最大手の「テンセント(騰訊、TENCENT)」がこのほど、「ゲーム版信用スコア(騰訊遊戯信用、テンセントゲームクレジット)」を導入した。より正確にいえば、統一したテンセントゲーム信用スコアサイトが正式にオープンした。これについて紹介したい。

 テンセントのゲームについて、実名登録や、アクティブ状況や、ゲーム内資産や、チートツールの利用状況などからビッグデータを活用し、月に1度、各ゲームアカウントの信用スコアを決めるという。

 より具体的に書くと、「頻繁にゲームをする」「健康なゲーム行為を継続する」「チートをしているアカウントがいたら通報する」「実名登録を行う」とスコアがあがり、「チャットで罵る」「違法情報などの不良行為を行う」「チートプログラムを使う」「育成代行プログラムを利用する」と信用スコアが下がる(ただし、意図して清廉なユーザーを通報すると、通報したアカウントのスコアが下がる)。

 テンセントのネットゲームの世界でも清廉な行動をし、不良アカウントがあれば通報するユーザーが望まれ、一方中国が不良情報とする言葉を誰かに対してつぶやこうものなら信用スコアが下がるという世界が広がることになる。これまでもテンセントは、チートサーバーやチートプログラムを使うユーザーに対してしばしば対処を行っていたが、信用スコアでプレーヤーが自身の信用状況がわかるようになる。

 ではゲーム内信用スコアが高くなるとどういうメリットがあるのだろうか。オフィシャル情報によれば、新タイトルのゲームテスターに優先的になれたり、ゲーム内アイテムがもらえたりするという。

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