Microsoftは、ローコードプログラミング言語「Microsoft Power Fx」に人工知能(AI)テクノロジーを統合すると発表した。この統合により、顧客は「Microsoft Power Apps」を利用した開発で、自然言語での入力や「Programming by example(PBE)」(例に基づくプログラミング)が可能になる。
提供:Microsoft
Microsoftは米国時間5月25日、オンラインで開催されている開発者カンファレンス「Build 2021」でこの新機能について発表した。同社によると、これらの新機能を搭載した英語版のパブリックプレビューを、北米全土で6月末までに開始する。
Power Fxは、Microsoftが2021年3月に発表したローコード開発向けプログラミング言語で、人間が読みやすいテキストで表現される。「Microsoft Excel」を基に数式をベースしたもので、オープンソース化されている。
Microsoftは、自然言語生成モデルの「GPT-3」(Generative Pre-trained Transformer 3)と、PROSE(Program Synthesis Using Examples)のSDKを活用している。GPT-3は、以前からMicrosoftと協力関係にあるAI研究団体のOpenAIが開発した、自然言語処理のためのAIモデルだ。PROSEテクノロジーはMicrosoft Researchが開発したものであり、既に「Power BI」やExcel、「Visual Studio」に統合されている。
同社によると、Power AppsへのGPT-3の統合は、同社の商用製品にGPT-3を統合するという初のケースになるという。GPT-3は「Microsoft Azure」上で稼働し、「Azure Machine Learning」サービスを活用する(MicrosoftはGPT-3モデルを実装しているコードにアクセスできるライセンスを供与されているため、GPT-3テクノロジーを同社の製品に統合できる)。このGPT-3の自然言語能力は、Buildで発表されたAzure Machine Learningの新たな機能、すなわち「マネージドエンドポイント」機能を使用している。これにより、ベースとなるコンピュートインフラの管理をすることなく、あらゆる規模のモデルをAzure上でデプロイできるようにしている。
Microsoftは、Power FxやPower Appsに自然言語処理機能を統合するというシナリオによって、「自然な英語でコードを開発できるようになる」まったく新たな世界を思い描いている。こういった機能が実現されるまで、「Microsoft Power Platform」のユーザーは、数式を記述するための基本的な論理構造を理解する必要があった。しかし今後は、「指定した単語が含まれる商品に対する10件の注文について、購入日の新しいものから順に表示せよ」といった平易な言葉で、数式による記述と同じ結果が得られるようになる。
OpenAIは2020年、GPT-3の機能を開発者が評価できるようにするために、Azure対応のAPIを公開している。Microsoftは、Azureなどの主力製品にこのモデルを取り込む方法を模索しているという。また、Power FxをPower Platformのほかのツールにも導入することを計画しており、GPT-3による新たな自然言語処理機能がそれらの製品にも適用されるだろうと述べている。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。