Microsoft Build

マイクロソフト、自然言語モデル「GPT-3」をPower Appsに--「自然な英語」でコード開発へ

Mary Jo Foley (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部

2021-05-26 12:01

 Microsoftは、ローコードプログラミング言語「Microsoft Power Fx」に人工知能(AI)テクノロジーを統合すると発表した。この統合により、顧客は「Microsoft Power Apps」を利用した開発で、自然言語での入力や「Programming by example(PBE)」(例に基づくプログラミング)が可能になる。

データセンター
提供:Microsoft

 Microsoftは米国時間5月25日、オンラインで開催されている開発者カンファレンス「Build 2021」でこの新機能について発表した。同社によると、これらの新機能を搭載した英語版のパブリックプレビューを、北米全土で6月末までに開始する。

 Power Fxは、Microsoftが2021年3月発表したローコード開発向けプログラミング言語で、人間が読みやすいテキストで表現される。「Microsoft Excel」を基に数式をベースしたもので、オープンソース化されている。

 Microsoftは、自然言語生成モデルの「GPT-3」(Generative Pre-trained Transformer 3)と、PROSE(Program Synthesis Using Examples)のSDKを活用している。GPT-3は、以前からMicrosoftと協力関係にあるAI研究団体のOpenAIが開発した、自然言語処理のためのAIモデルだ。PROSEテクノロジーはMicrosoft Researchが開発したものであり、既に「Power BI」やExcel、「Visual Studio」に統合されている。

 同社によると、Power AppsへのGPT-3の統合は、同社の商用製品にGPT-3を統合するという初のケースになるという。GPT-3は「Microsoft Azure」上で稼働し、「Azure Machine Learning」サービスを活用する(MicrosoftはGPT-3モデルを実装しているコードにアクセスできるライセンスを供与されているため、GPT-3テクノロジーを同社の製品に統合できる)。このGPT-3の自然言語能力は、Buildで発表されたAzure Machine Learningの新たな機能、すなわち「マネージドエンドポイント」機能を使用している。これにより、ベースとなるコンピュートインフラの管理をすることなく、あらゆる規模のモデルをAzure上でデプロイできるようにしている。

 Microsoftは、Power FxやPower Appsに自然言語処理機能を統合するというシナリオによって、「自然な英語でコードを開発できるようになる」まったく新たな世界を思い描いている。こういった機能が実現されるまで、「Microsoft Power Platform」のユーザーは、数式を記述するための基本的な論理構造を理解する必要があった。しかし今後は、「指定した単語が含まれる商品に対する10件の注文について、購入日の新しいものから順に表示せよ」といった平易な言葉で、数式による記述と同じ結果が得られるようになる。

 OpenAIは2020年、GPT-3の機能を開発者が評価できるようにするために、Azure対応のAPIを公開している。Microsoftは、Azureなどの主力製品にこのモデルを取り込む方法を模索しているという。また、Power FxをPower Platformのほかのツールにも導入することを計画しており、GPT-3による新たな自然言語処理機能がそれらの製品にも適用されるだろうと述べている。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. ビジネスアプリケーション

    改めて知っておきたい、生成AI活用が期待される業務と3つのリスク

  2. ビジネスアプリケーション

    Google が推奨する生成 AI のスタートアップガイド、 AI を活用して市場投入への時間を短縮

  3. セキュリティ

    「2024年版脅威ハンティングレポート」より—アジアでサイバー攻撃の標的になりやすい業界とは?

  4. セキュリティ

    まずは“交渉術”を磨くこと!情報セキュリティ担当者の使命を果たすための必須事項とは

  5. クラウドコンピューティング

    生成 AI リスクにも対応、調査から考察する Web ブラウザを主体としたゼロトラストセキュリティ

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]