以前の記事にも記した通り、中国の労働者の賃金はこれまで年々上がり続けてきている。安い労働力を確保し続けるとなれば、新たなロケーションへと生産拠点を移動し続けることになる。その先には、アパレル分野ですでに起こっているような先例——ハイチやエジプトなどまでアウトソース先を広げる米企業の話がWSJには出ている——が待ち構えることになるかもしれない(註8)。
ただし、アジアにしっかりと根を下ろした電子機器製品のサプライチェーンを思うと、そうした移転をどこまで続けられるものか……。フォクスコン(ホンハイ)によるシャープへの出資に関する記事や解説などを目にしていると、そうした移転を続けることにも限界があり、それよりは「価値の高い分野に事業エリアを拡大して」といった思いがあったかもしれない、という印象も受けるのだが(註9)。
アップルにしてもフォクスコンにしても、80年代のアルコアとは状況が大きく異なることはいうまでもない。しかしそのいっぽうで、「これまで通りのやり方をどこまで続けられるかは定かではない」というところは同じ、違うのは変化(変革)に使える時間の短さやリソースの質・量だけ、という見方もできるかもしれない。
はたしてフォクスコンがうまく「変革のツボ」を探り当て、それを押し続けることで、全体として質的な変化を遂げることができるのかに、私はいま注目している。
なお、書籍『The Power of Habit』は日本語版の版権がすでに売約済みだという噂を小耳に挟んだ。いつ、どういったかたちで出てくるのか、こちらも「乞うご期待」といったところである。
註8:アウトソース先を広げるアパレル
Beijing raised its minimum monthly wage by 8.6% to 1,260 yuan ($199) starting in January, according to the state-run Xinhua news agency. The following month, the southern boomtown of Shenzhen raised its compulsory monthly wage by nearly 14% to 1,500 yuan. The northeastern port city of Tianjin will raise its minimum wage nearly 13% to 1,310 yuan starting in April, Xinhua said.
...With this in mind, Jos. A Banks, which also produces in Sri Lanka and Malaysia, is adding capacity in other parts of the world, including Central America and countries such as Haiti and Jordan.
註9:生産拠点の移転には限界があるのでは…
"This is a risky and aggressive move by Foxconn, which is betting on current and future Apple products, including the iPad and an Apple television, a product which doesn't even exist," said Vincent Chen, a Taipei-based analyst at Financial Holding Co. who recommends investors buy Hon Hai.
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