電機大手8社の2011年度(2011年4月〜2012年3月)の連結業績が出揃った。
重電を柱とする日立製作所が2期連続で過去最高となる最終黒字を計上する一方で、パナソニック、ソニー、シャープといったテレビを主軸に据える企業が過去最大の最終赤字に陥るなど、明暗を分けた業績となった。
電機大手8社(日立製作所、パナソニック、ソニー、東芝、富士通、三菱電機、NEC、シャープ)合計の2011年度売上高は43兆7049億円となり、前年の45兆8991億円に比べて4.8%減。本業の儲けを示す営業利益は9622億円で、前年比43.2%減。そして当期純損失は、2010年度の3775億円の黒字からマイナス1兆1394億円の赤字と、実に1兆円を超える赤字となった。
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東日本大震災やタイ洪水被害などが売り上げに影響したほか、超円高と言われる為替の影響、欧州の金融危機を発端とした経済低迷、米国で長期化している景気低迷、中国市場での絞り込み政策の影響などに加え、事業構造改革費用の負担が最終損益に影響した企業も多かった。
とくにテレビ事業においては、技術力とウォン安を背景に躍進する韓国勢とのし烈な価格競争において、グローバル市場で厳しい戦いを余儀なくされる一方、国内では地上デジタル放送への移行後の急激な需要の落ち込み、前年のエコポイント制度の反動など、大きくブレーキがかかったともいえる。
パネル生産においても、パネルの余剰感を背景に生産体制の見直しを迫られ、パナソニックは液晶パネルの生産拠点を2カ所から1カ所に、プラズマディスプレイパネルの生産拠点を3拠点から1拠点に統合。ソニーは、韓国サムスンと合弁の液晶パネル生産のS-LCDにおいて、ソニーの持ち株をすべてサムスンに売却。また、シャープはテレビ用液晶パネルの生産を行ってきた亀山第2工場を、中小型液晶パネルの生産拠点へと転換するとともに、世界最大の第10世代の液晶パネル生産が可能な堺工場を運営するシャープディスプレイプロダクツ(SDP)の株式の46.48%を、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の郭台銘董事長および他の投資法人に売却。日台企業の連携によって、工場を稼働させることになる。
こうしたテレビおよびパネル事業の再編が、業績に重くのしかかったといえる。
この点で、韓国サムスンとの差は歴然だ。