WIREDは、財務省にエコノミストとして務めた経験もあるマーティン・サリバンなる人物(現在は「Tax Analysts」というニュースレターを発行)のコメントとして、「国外に利益を溜め込んできた企業各社は、また(2004年の時のような)タックスホリデーがあると期待していたが、(今や)それと正反対の結果になる可能性もある——オバマにハンマーで叩かれるかもしれない」という見方を紹介している。
さらに、ロバート・ウィレンズなる法律家(法人税が専門)の次のような見方も出ている。「国外に留め置いてある利益を効率的なやり方(=かなり安い税率)で米国内に持ち込む方法がないとなれば、これらの企業が利益をそのまま米国外に置いたままにしようとするのはほぼ間違いない」「800億ドルもの資金を海外に寝かしてある企業が、その金を米国内に持ち込んだら、米国で支払う税金の額は285億ドルにもなる」
むろん、こうしたシナリオが現実になると決まったわけではない。もっと実現可能性の高そうな別のシナリオ、たとえば「海外の企業買収やその他の資産獲得(設備投資なども含まれるのだろう)を一気に加速させる」とか、「また新たな節税方法を見つけ出す」といった展開も挙げられている。ただ、「アップルが今よりももっと社会的な意識の高い企業になりたいと考え、自社の評判に傷がつくのを懸念して285億ドルの税金をそっくり納めるという可能性もなくはない」とする機関投資家関係者(グリーンクレスト・キャピタルのチーフエコノミスト、マックス・ウォルフなる人物)の見方が存在すること自体がちょっとした驚きにも感じられてしまう。というのも、お金の使い方が下手な政府への不信感を抱くティーパーティのような集団、あるいは「自分たちの分け前はどうなる!?」という投資家筋からの反応や批判の声などがすぐにも想像されるからだ。
これからどんな展開になるのか、具体的な道筋はまだはっきりとしていない印象。それでも、米国を代表するグローバル企業となったアップル、その舵取りを任された最高経営責任者(CEO)のティム・クックにとって、大きな決断を迫られる時が近づいてきている、そのことはほぼ間違いない、という印象が強く伝わってくる。
(敬称略)
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