米テレビ市場については、生前のスティーブ・ジョブズは「業界構造が問題でイノベーションの余地がない」と嘆いていた（註5）。
註5：スティーブ・ジョブズの嘆き
D8 Video: Steve Jobs on Why Apple TV Is a Hobby
Q: Is it time to throw out the interface for TV? Does television need a new human interface.
A: The problem with innovation in the TV industry is the go-to-market strategy. The TV industry has a subsidized model that gives everyone a set top box for free. So no one wants to buy a box. Ask TiVo, ask Roku, ask us… ask Google in a few months. The television industry fundamentally has a subsidized business model that gives everyone a set-top box, and that pretty much undermines innovation in the sector. The only way this is going to change is if you start from scratch, tear up the box, redesign and get it to the consumer in a way that they want to buy it. But right now, there's no way to do that….The TV is going to lose until there's a viable go-to-market strategy. That's the fundamental problem with the industry. It's not a problem with the technology, it's a problem with the go-to-market strategy….I'm sure smarter people than us will figure this out, but that's why we say Apple TV is a hobby.
Apple CEO Steve Jobs Live at D8: All We Want to Do is Make Better Products
そうしたかなり難しい市場（註6）に、インテルがどういう手をつかって入り込もうとしているのか。
戦略の部分について、The Vergeの考察で面白いのは「配信サービス（パイプ）と番組提供（コンテンツ）を切り離そうとしているのではないか」というところ。簡単にいうと、インテルとしてはコンテンツのバンドルを温存したまま、ネットを使ってケーブル事業者や衛星テレビ事業者を中抜きする、といったことになる。
ただしその場合、テレビ局側との関係はいいとしても、ケーブルテレビ事業者などとはどう折り合いを付けるのか。この部分が現時点ではよくわからない。
註6：かなり難しい市場
ジョブズが「市場をこじ開けるヒントをつかんだ」と語ったとされていたにも関わらず、いまだにアップルから期待されるような製品・サービスが出てきていないのが、その難しさを示す何よりの証拠かもしれない。
なお、下掲のグラフはCATV最大手コムキャストの売上推移と予想（Trefisにあったグラフ）だが、これをみると昔ながらのCATV事業（オレンジ色）はどう頑張っても頭打ちで、売上増加が見込めるのはコンテンツ（赤）とブロードバンド（ISP、薄紫）の各事業だけ、といった状況であることもわかる。
その点を踏まえると、すでに設備投資をほぼ済ませたCATV回線経由のブロードバンドサービスを従量課金に変えることで、インテル・メディアの取り組みのようなものが出てきても、かえってネットトラフィックが増えて好都合……みたいなことになるのかもしれない。
BBCのデジタル戦略のキーパーソン
インテル・メディア自体がインテルのなかの秘密プロジェクト——別動部隊で進められてきたという話も伝えられている。
