コードカッターとは、ブロードバンドの普及、それに2008年の金融危機に端を発した景気後退で懐具合が厳しくなった消費者が、割高な有料テレビの契約を解約してネットフリックスやフールーなどのネット配信サービスで代用する、という現象だ。
これらのネット配信サービスは「オーバー・ザ・トップ」などと称されることもある。
いずれにせよ、消費者の間では普段目にすることがあまりないチャンネルまで抱き合わせで購入させられて、高い料金を支払わされる有料テレビサービスに辟易しているといった感じが強くある。実際、景気がすでに回復途上にあった一昨年あたりでもコードカッターの流れが続き、「年間1万件以上の解約があった」(註3)、「昨年第2四半期でさえ推定40万件を超える契約数減少があった」(註4)といった話が伝えられていた。
註4:2012年Q2で40万件の契約数減少
Evidence Grows on TV Cord-Cutting
この記事にあるグラフを見ると、同期(2012Q2)の大手5社の契約減少数は、ディレクTVが5万2000、コムキャストが17万6000、チャーターが7万2000、タイムワーナー・ケーブルが16万9000、ディッシュが1万などとある。
学生が卒業するのにあわせて契約を解約するなど、季節変動が激しいことも読み取れるが、トレンドとして加入者数が頭打ちからやや減少になっていることもこのグラフから読み取れる。
スティーブ・ジョブズが嘆いたテレビ業界の構造問題
各所で既報のとおり、米テレビ市場はケーブルテレビ事業者や衛星テレビ事業者などの力が強く、さらに映像コンテンツを制作・提供するテレビ局(「ネットワーク」もしくは「ハリウッド」と総称されることも)もガードが堅く……といった状況。アップルやグーグルといった大手コンシューマーブランドでさえ、いまだ攻略の糸口が見いだせずにいる。