三国大洋のスクラップブック

アップルはビーツ買収で何を手に入れるのか(前編)

三国大洋

2014-05-14 08:00



[Beats by Dre x Kevin Garnett: Hear What You Want - Director's Cut Commercial]

 AppleがBeats(ヘッドフォンやスピーカーを作るBeats Electronics、音楽ストリーミングサービスを提供するBeats Music)を買収するのではないか、という話が先週後半に出て、それ以来米国のメディアでは、この話題で持ちきりといった感がある(この原稿が公開される頃には正式発表になっているかもしれない)。このニュースの概要についてはCNET Japanの記事(『アップル、ヘッドホンメーカーBeats Electronics買収で交渉中か--狙いは音楽サービス?』)をご覧頂ければと思う。

 音楽の好みもあるいは音響関連機器の好みも日本と米国ではだいぶ大きな違いがあるようで、だからDr. DreやBeatsといった名前を聞いてもあまりピンとこない“大人の読者”の方もいるかもしれない。最近ではBeats by Dr. Dreのヘッドフォンを着用した若い女性などを盛り場やターミナル駅などで目にするようにもなったが、それでもBeatsのヘッドフォンは決してカカクコムのランキングで上位に入ってきたりするようなものではない(ヒップホップ向けに味付けされた低音重視のサウンドなどが日本のマジョリティには受けないのかどうか…。そのあたりのことは、実際に訊ねたこともないのでよくわからないが)。

 Dr. Dreが「Eminemや50 Centといった人気スターを売り出したプロデューサー」などと書いてもほとんど何も伝わらないだろうし、Jimmy Iovine(Beats ElectronicsをDr. Dreとともに始めた音楽プロデューサー、 Interscope Geffen A&M会長)についても「その昔Steve JobsやU2のBonoと一緒に写真に撮られていた人物」として、かすかに記憶している方なら多少はいるかもしれないが、一時期大人気を博した音楽オーディション番組「American Idol」にメンターとして毎回登場していた(つまり、米国では“お茶の間にも馴染みのある顔”ということ)というのはほとんど知らない人ばかりかもしれない。

 そうしたこともあって、この話はなかなか取り扱い方が難しいな、などとしばらく躊躇していたのだが、ニュースサイトのThe Vergeで「AppleがBeatsを買収するのは、ウェアラブル(腕時計型)端末をBeatsブランドでリリースするためではないか?」という趣旨のちょっと面白い記事を見つけた。

 そこで、今回と次回はこの話を中心に(個人的に)Appleに期待したいことなども書いてみたいと思う。


[Hip Hop First Billionaire Dr.Dre & Tyrese Announce Apple Buying Beats For $3.2 Billion! (Full Video) ]

首をかしげる主流媒体の反応

 AppleのBeats買収(の可能性、もしくは両社の交渉)をFinancial Times(FT)が報じたのを受けて、テクノロジ系や経済系のニュースサイトなどで真っ先に出ていたのは「Appleがこの買収で手に入れるのは何なのか」といった趣旨の記事だった。

 具体的には「ハードウェア事業(音響アクセサリなど)か、それとも音楽ストリーミング事業なのか」という感じで、前者が主であれば伸びしろがあまり期待できない(年間売上がすでに10億ドル以上の規模に達しているとしても)、また後者であればあまりにも高すぎる(登録ユーザーがまだ20万人程度しかいない)ということで、全体として「AppleはなんでまたBeatsなんかを(…買収しようというのか、しかも32億ドルも出して)」という、かなり困惑した感じのものが多かった。

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