三国大洋のスクラップブック

まるで『スターウォーズ』--グーグルらが大規模投資したマジックリープのAR/VR

三国大洋 2014年10月27日 07時30分

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 久しぶりに“ITネタ”らしい話をひとつ紹介する。

 Magic Leapというほとんど名前を見聞きしたこともベンチャー企業に「Googleなどが5億4200万ドルもの大金を投資することになった」というニュースが主要な米媒体で流れていた。AppleやGoogleなどの決算発表も過ぎ、これといった大きなニュースもなかったから、てっきり一種の穴埋め記事かと思ったが、WSJ、Bloomberg、NYTimesといった各社でもこの話が採り上げられていた。

 記事に目を通すと、出資者の中には、Googleを筆頭として、Qualcomm Ventures(大手チップメーカーのベンチャーキャピタル=VC部門)、10月初めにソフトバンクが2億5000万ドルを出資したと話題になったLegendary Entertainment(『パシフィック・リム』『ゴジラ』『バットマン・ダークナイト』シリーズなどを製作した映画会社Legendary Picturesの親会社)、大手プライベートエクイティ(PE)ファンドのKKR(Kohlberg Kravis Roberts、80年代にRJR Nabiscoをレバレッジドバイアウト=LBOで買収して名を馳せたあの会社)、VCではKleiner PerkinsやAndreessen Horowitzといった金看板から、Microsoft共同創業者であるPaul Allen(近年ではNFLのSeattle Seahawks、NBAのPortland Trail Blazersのオーナーとして有名)のVulcan Capitalなどそうそうたる名前が並んでいる。

 しかも、この資金調達で音頭を取ったGoogleの場合は、よくあるGoogle Venturesからの出資ではなく、本体が直々に出資。また――お目付役としてだろうか――AndroidとChromeの開発責任者であるSundar PichaiがMagic Leapの取締役に就任し、同社の経営に関与することになった、などとある。

 もちろん、“シリーズB(外部からの2回めの資金集め)”で5億ドル超の資金が集まったというのも異例なら、製品もビジネスモデルもまだないベンチャーに20億ドル弱の評価額がついた、というのもめったにあることではない。

 たとえば、FacebookがInstagramを「10億ドルで買う」と言い出した時にもすでにInstagramのアプリやユーザーベースは存在していたし、今春にやはりFacebookが20億ドルで買ったOculus(VR=バーチャルリアリティ用のゴーグルなどを開発)にしても「Rift」のプロトタイプはあったかと思う。

 そんなMagic Leapという会社――シリコンバレーではなく、フロリダ州マイアミ近郊に拠点があるため、業界内でもほとんど知られていなかったようだ――がいったいどんな技術を開発しているのか。この肝心の部分が、記事(文字の情報)だけではなかなかピンとこなかった。

 たとえばWSJには、次のような記述があり、同社が視覚ディスプレイ関連の技術開発を手がけていること、その技術を使うと現実の場面にCG画像・映像を投影できること、その技術を応用した第1弾の製品がモバイル/ウェアラブル端末になりそうなこと、そしてその製品ではバーチャルな3Dオブジェクトを現実の一部のように見せられること、などが読み取れる。ただしこれだけでは「すでに一部に出回っている3D用ゴーグルなどと何が違うのか」といったことはやはりはっきりしない。

Magic Leap Inc., a secretive visual-display company near Miami. The startup is developing its own eyeglasses-like device, different from Google Glass, designed to project computer-generated images over a real-life setting.

Its first product in development is a mobile and wearable device for the eyes, with the hardware and software designed by Magic Leap. At its core, Magic Leap's visual technology is able to project accurate images onto the eyes, making it possible to see virtual 3-D objects as if they were part of the real world, Mr. Abovitz said.

 そんなモヤモヤとした感じを抱きながら、もうしばらくウェブを探していたら、NYTimesの大ベテラン記者、John Markoff(最近ではもっぱらロボットなどの話題を扱っている印象がある)が今年7月にまとめたMagic Leapについての記事が見つかった。冒頭の動画は、この記事に含まれていたもので、Magic Leapのウェブサイトにアクセスすると最初に目に飛び込んでくるものでもある。

 まるで『スターウォーズ』さながらの――レイア姫などのホログラフィーが宙に浮かんでいる例のシーンを彷彿とさせる、この映像に関してMarkoffは興味深いことをふたつ記している。

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