--働く場所、ツール、さらに人事制度まで選択の余地がある会社というのは珍しいと思うのですが、どのようにしてこのワークスタイルができ上がったのですか。
野水氏 時間を掛けてここまで来たという感じです。特に人事制度については毎年変わっていったのではないでしょうか。途中から数値による定量的な評価を諦めてしまいました。例えば、営業の歩合制っておかしいでしょうと。営業個人の努力ではどうにもならないケースもありますから。
佐藤氏 それからサイボウズには社内評価以外に社外評価というのがあって、要するに「もしこの従業員が転職するとすれば市場価値はどのくらいか」という観点でも評価するんです。
--社外価値の高い社員は引き抜かれてしまうこともあると思うのですが。
サイボウズ 大槻幸夫氏
大槻氏 輩出した人材が活躍することでサイボウズの評価も向上するのであれば、会社の生存という視点では実は理に適っていると思うんです。
野水氏 多様な価値観と協調性を重んじた結果、ここにたどり着いた感じですね。
--なるほど。しかし、サイボウズの離職率はかなり低い水準ですよね。現在は電気やガス会社と同水準(4%前後)であると記憶しています。
佐藤氏 これでも昔は離職率が30%近くあって、危機的な状況だったのです。ワークスタイル変革に着手したきっかけでもありました。
大槻氏 ワークスタイル変革を成し遂げるにはどうすれば良いかと質問されるのですが、やっぱり経営面で危機に見舞われないと重い腰を上げないんですね。かつての弊社の場合、本当に採用が大問題で…。とにかくやらざるを得ない状況でした。
野水氏 もともと変な会社ですから、迷ったらやるという社風も後押ししたと思いますけどね。
一同 笑