「そのお客様はさまざまなデータが急増し、一般的なPaaS上でデータベースが7つに膨れ上がった。性能面および耐障害性に大きな不安を抱え、コストもかさむ一方になってしまった。そこでOracle Cloud Platformに乗り換えたところ、データベースは1つで済むようになり、リスクもコストも抑えることができるようになった」
この事例から同氏は、「1対7がもたらす効果の差は歴然。一般的なPaaSを採用するお客様には“安物買いの銭失いになっていませんか”と訴えたい」と強調した。冒頭の発言は最後のコメントを抜粋したものである。

Oracle Cloud Platformと一般的なPaaSの比較例
パートナー向けイベントならではの“杉原節”といったところだが、日本オラクルのクラウド事業への力の入れようがひしひしと伝わってきたスピーチだった。とはいえ、日本オラクルがクラウド事業に出遅れたのは否めない。少々過激な発言は、強い危機感の裏返しともいえそうだ。
「オムニチャネルは業種を問わずに活用されていく」 (米NCR Eli Rosner シニアバイスプレジデント)

米NCRのEli Rosner シニアバイスプレジデント
日本NCRが先ごろ、米国本社のシニアバイスプレジデントでソフトウェアソリューション部門の最高技術責任者(CTO)を務めるEli Rosner(エリ・ロスナー)氏の来日を機に、NCRの事業戦略について記者説明会を開いた。Rosner氏の冒頭の発言はその会見で、同社が注力しているオムニチャネルのポテンシャルについて語ったものである。
NCRといえば、金融および流通分野にフォーカスして、とくに銀行のATMや小売店のPOSレジでは今も市場をリードしている老舗のITベンダーだが、Rosner氏によると、ここ5年ほどでハードウェア中心からソフトウェア・サービス重視へと大きく転換を図ってきているという。また、世界中で稼働するATMやPOSレジなどのデータ処理において毎日約6億件のトランザクションを取り扱っていることから、いわゆるビッグデータ活用も手掛けている。そうした土壌をもって、同社がここ数年、最も注力しているのがオムニチャネルである。
オムニチャネルとは、実店舗やオンラインストアをはじめとするあらゆる流通・販売チャネルを統合し、どこからでも同じように商品を購入できる環境を実現することである。NCRではこれを幅広く活用できるようにするために、必要な要素技術を取り揃えた「オムニチャネルプラットフォーム」を提供している。このプラットフォームによって、Rosner氏の冒頭の発言にある「業種を問わない活用」を目指している。

NCRのソリューション群(出典:日本NCRの資料)
ただ、オムニチャネルは有望な市場だけに競合ひしめく激戦区である。そこで、会見の質疑応答で、この分野におけるNCRのアドバンテージを聞いてみたところ、Rosner氏は次のように答えた。
「当社はさまざまなデバイスを手掛けており、それをお使いいただいているところから毎日大量のさまざまなデータを活用できる状況にある。こうした立ち位置はオムニチャネルの展開に非常に有利で比類がないと自負している。この立ち位置を最大限に生かし、オムニチャネルプラットフォーム分野において、ぜひともグローバルでナンバーワンのベンダーになりたい」
老舗のITベンダーだが、地味な存在に見られがちなNCR。果たして、オムニチャネル市場をリードすることができるか。注目しておきたい。