どうやってCloud journeyを作り上げるか
Cloud Journeyを作るためには、大きく4つのステップが必要である。これら4つのステップの具体的な方法について述べる。
- <Step 1>現状把握
- <Step 2>クラウド変革余地の識別
- <Step 3>オペレーティング・サービスモデルの定義
- <Step 4>Cloud Journeyの策定
<Step 1>現状把握(ヒト・モノ・カネの現状分析)
最初のステップは、現状を可視化することから始まる。クラウド化は単なるシステム更改ではなく、既存のビジネスプロセスの最適化、新たなビジネスモデルの創造もクラウド化の価値であり、それらの価値の可能性を検討するためには、ヒト・モノ・カネの企業の持つリソースを分析し、可視化することが必要である。
(1)ヒトの分析
どの業務(種別×役割)に、どの程度の要員が従事しているかを、インソース/アウトソースを含めて可視化する。多くのケースは、アプリケーション・インフラなどのモノ・カネを中心とした現状分析のみだが、忘れがちなことが、このヒトの分析である。
クラウド利用においては、サービスプロバイダにて担う範囲が広がり、その分のリソースを付加価値の高い業務にシフトしていくことで効果を最大化できるため、このヒトの分析を怠ると本来享受できる価値の測定を誤る、または本来の価値を享受できなくなってしまう。
(2)モノの分析
企業が持つITリソースを機能・非機能の双方で可視化する。徹底的に可視化を進めることで、クラウドサービスの特徴の1つであるPay per use(使った分だけ支払う)を活用し、IT部門が管理していないサーバ(野良サーバ)や、利用効率の悪いサーバを含めた変革を実施し、より大きな効果を生み出すことが可能となる。
モノの分析を怠ると、本来効果の高いはずのクラウドが、特徴を生かし切れず効果が局所的になってしまう。
(3)カネの分析
ITリソースに係わるコストを、システム別(業務システムごと/ネットワークなどの共通基盤)に、どの程度かかっているか、その契約内容(契約期間/制約)まで含めて可視化する。
これらのカネに関する情報をIT資産の償却期間/システム更改時期などの時間軸と併せて整理することで、効果を最大化するような変革タイミングを決められる。
カネの分析を怠ると、既存IT・業務をクラウド化の検討によりランニングコストが低くなるような施策も変革タイミングを誤ることで、移行に伴う改修・テスト費用を含めたトータルでのコストが増加してしまう可能性がある。