クラウドの値打ち

クラウドを基盤にしたビジネスモデル創造への道--破壊的テクノロジを使いこなす - (page 3)

戸賀慶 倉本 和治

2016-09-14 07:00

どうやってCloud journeyを作り上げるか

 Cloud Journeyを作るためには、大きく4つのステップが必要である。これら4つのステップの具体的な方法について述べる。

  • <Step 1>現状把握
  • <Step 2>クラウド変革余地の識別
  • <Step 3>オペレーティング・サービスモデルの定義
  • <Step 4>Cloud Journeyの策定

<Step 1>現状把握(ヒト・モノ・カネの現状分析)

 最初のステップは、現状を可視化することから始まる。クラウド化は単なるシステム更改ではなく、既存のビジネスプロセスの最適化、新たなビジネスモデルの創造もクラウド化の価値であり、それらの価値の可能性を検討するためには、ヒト・モノ・カネの企業の持つリソースを分析し、可視化することが必要である。

(1)ヒトの分析

 どの業務(種別×役割)に、どの程度の要員が従事しているかを、インソース/アウトソースを含めて可視化する。多くのケースは、アプリケーション・インフラなどのモノ・カネを中心とした現状分析のみだが、忘れがちなことが、このヒトの分析である。

 クラウド利用においては、サービスプロバイダにて担う範囲が広がり、その分のリソースを付加価値の高い業務にシフトしていくことで効果を最大化できるため、このヒトの分析を怠ると本来享受できる価値の測定を誤る、または本来の価値を享受できなくなってしまう。

(2)モノの分析

 企業が持つITリソースを機能・非機能の双方で可視化する。徹底的に可視化を進めることで、クラウドサービスの特徴の1つであるPay per use(使った分だけ支払う)を活用し、IT部門が管理していないサーバ(野良サーバ)や、利用効率の悪いサーバを含めた変革を実施し、より大きな効果を生み出すことが可能となる。

 モノの分析を怠ると、本来効果の高いはずのクラウドが、特徴を生かし切れず効果が局所的になってしまう。

(3)カネの分析

 ITリソースに係わるコストを、システム別(業務システムごと/ネットワークなどの共通基盤)に、どの程度かかっているか、その契約内容(契約期間/制約)まで含めて可視化する。

 これらのカネに関する情報をIT資産の償却期間/システム更改時期などの時間軸と併せて整理することで、効果を最大化するような変革タイミングを決められる。

 カネの分析を怠ると、既存IT・業務をクラウド化の検討によりランニングコストが低くなるような施策も変革タイミングを誤ることで、移行に伴う改修・テスト費用を含めたトータルでのコストが増加してしまう可能性がある。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. ビジネスアプリケーション

    生成 AI 「Gemini」活用メリット、職種別・役職別のプロンプトも一挙に紹介

  2. セキュリティ

    まずは“交渉術”を磨くこと!情報セキュリティ担当者の使命を果たすための必須事項とは

  3. セキュリティ

    迫るISMS新規格への移行期限--ISO/IEC27001改訂の意味と求められる対応策とは

  4. ビジネスアプリケーション

    急速に進むIT運用におけるAI・生成AIの活用--実態調査から見るユーザー企業の課題と将来展望

  5. セキュリティ

    マンガで分かる「クラウド型WAF」の特徴と仕組み、有効活用するポイントも解説

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]