次世代CIO

なぜCIOがデザイン思考に取り組むべきなのか - (page 2)

高橋秀

2016-09-26 07:00

デジタルセキュリティの新しい現実

 デザイン思考はよりよい体験やビジネスの結果をもたらすだけではなく、年々高度化しているサイバー攻撃に対するセキュリティのデザインにも役立ちます。Information Ageに掲載された記事では、「この広くつながった世界を保護し、その恩恵を最大化するためには、サイバーセキュリティに対するより包括的なアプローチが必要だ」と書かれています。

 包括的なアプローチを検討するにあたって、私たちはセキュリティに対する定義も再学習する必要があります。すでに境界という考え方はなくなりました。ビジネスを情報漏えいから守り続けるという考えもなくなりました。より流動的、効果的、そして正確な方法というのは、先を見越した、予測によるセキュリティのデザインです。


 この考えでは、セキュリティ侵害というのは必ず起きるものであり、侵害を察知し、危険があったらすぐに知らせるアルゴリズムの開発に専念しています。これらは、「自己修復型アプリケーション」や「サービスとしてのセキュリティ」という概念へと発展しています。自己修復型アプリケーションでは、構築されたシステム自身がエラーを認識し、原因を分析することができます。その結果、自己回復するか、または最適な対策方法をサポートエンジニアに提案することができます。サービスとしてのセキュリティ(Security as a Service)では、企業インフラにおけるセキュリティがクラウドサービスとして提供され、企業は従来のように固定資産としてセキュリティ対策環境を構築するのではなく、サービスを利用して自社内及びクラウド上の全ての環境を保護できます。

成功する企業が実践すべきアプローチ

 過去の成功体験に頼るだけでは今日のデジタルビジネスを勝ち抜いていくことは難しくなってきています。成功するためには新しいアプローチを再学習し、コアの最適化(基幹システムの維持管理効率化やセキュリティ保護)とビジネス革新(新しいテクノロジによる新しいビジネス手法発見)という2つのスピード感を備えた意思決定をもって取り組んでいく必要があります。例えば製品開発やシステム開発においては、「実用最小限のプロダクト」を提供しつつ、その間にも学び続け、それを適応していき、次のバージョンを提供していく必要があります。その手段として、ビジネスや課題に迅速に対応するための"IT手法"の活用が挙げられます。

 この"IT手法"には3本の柱があります。アジャイル、DevOps (ビジネススピードに合わせた運用と開発の連携)、そしてデザイン思考です。大事なのは、成功するためにはこれらの原則がITだけではなく、ビジネス全体に適応される必要があることです。

 アジャイルとDevOps:ビジネスとITを一貫して、効率的で迅速なプロセスを実現します。

 デザイン思考:問題解決のために多くの選択肢の中から最適解を選び出す反復的なアプローチです。

 マイクロソフトは、コアの研究開発と製品開発チームを変革している最中であり、"IT手法"活用のよい例といえます。Windowsはコードの集まりとして世界最大級のものであり、過去のリリースでは何年もかけてOSのあるべき姿といった視点から議論されてきました。20年以上にも遡る後方互換性、そして何億といったユーザーやPC・デバイスを抱え、すべての小さな決断が大きく影響する可能性がありました。しかし、これは同時に、Windowsはテクノロジ最新化やセキュリティ、そして俊敏性という面において、周りについて行くのが困難になりかねない状況も意味していました。

 現在では、Windowsは1年に2度ほどリリースをされていて、今後マイクロソフトは4半期に一度のリリースへとスピードアップすることを考えています。これはWindowsを利用している企業にとって大きな意味を持っており、彼らがソフトウェアの選定や導入をより短期で検討しなくてはならないことを意味しています。例えば、米国の国防総省はこの2月にWindows 10を今後12~24か月をかけて400万台のPCで採用することを発表しました。これは同省が大きな転換期を迎えたことを示しています。以前であれば、同省は一般層で長い間利用されてからアップグレードに対応してきました。

 デジタルビジネスにおける3つの"IT手法"の柱は、ビジネスが予測型セキュリティやメッシュ型のアーキテクチャ、IoTといった領域を築き上げるための基盤となっています。

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