トップインタビュー

SAP Hybrisトップが語るマイクロサービス「YaaS」の日本展開 - (page 2)

末岡洋子

2016-12-01 07:00

--マーケティングクラウドベンダーの中には、ERPやバックオフィスを持たないことを強みとするところもある。

 3、4年後、データの量はさらに増えている。これを顧客のプロファイルのために分析しなければならない。Hybrisなら顧客とエンゲージした時に、すでに分かることがたくさんある。そうなると、中立的な立場が強みになるかどうかは分からない。

--2016年2月の「SAP Hybris Summit 2016」でマイクロサービス「Hybris as a Service(YaaS)」をプッシュし、今回の「SAP TechEd」では米国に次いで、ドイツでのローンチを発表した。

 YaaSはIaaSでもSaaSでもなく、フロントオフィスのエコシステムにフォーカスしたものだ。

 マイクロサービスは3つの点から重要といえる。

 1つ目として、フロントオフィスのエコシステムでは多数の企業が展開している。この分野はコンシューマーの行動、カスタマーの行動、マーケティングオートメーションなど毎日変化するダイナミックな分野だ。Hybrisが1社ですべての技術革新を提供することは不可能だ。マイクロサービスを結びつけることで、顧客は技術革新を享受できる。

 2つ目として、デジタルトランスフォーメーションにより、アウトカムベースのエコノミーが進んでいるというトレンドがある。これまでは業界のリーダーが存在し、リードしていた。現在、企業は自社で独自のエコシステムを構築し、製品やサービスをサブスクリプションとして提供することを考えなければならない。これにより、企業各社が自社のユニークなプロセスを知的所有権に変えることができる。変化のペースは高速で、各社は自社を再構築しなければならない。

 短期的に見ると、競合のランドスケープや競合相手が変化したといえるが、長期的には自社のノウハウをIPに変える方法を見出す必要があるとも言える。

 アウトカムベースのエコノミーが加速すれば、ソフトウェアやイノベーションの規模は小さくなる。イノベーションを貢献することが簡単になる。ここではエコシステムの動きを管理して協調する方法を見出す必要がある。我々にとってはこの方法こそYaaSとなる。

 3つ目として、マイクロサービスアーキテクチャは技術革新により初めて可能になった。小さな機能を作成し、さまざまなインフラやプラットフォームに独立して実装する――このようなことは5年前には不可能だった。今はそれを可能にする技術がある。これがネットワーク化されてアウトカムベースのエコノミーを形作る。

--YaaSのエコシステム戦略やビジネスモデルは?

 Hybrisは市場をリードしており、BtoB、BtoCで利用されている。われわれのプラットフォームなら、トランザクションデータ、マーケティングデータなどを活用できる。他のエコシステムはソフトウェアの提供だけで、サービスをさらに活用するためのインテリジェンスはないため、これは大きな優位性になる。

 ビジネスモデルというよりも、まずはアーキテクチャとデリバリーにおける基本的な構造を重視している。自社でもYaaSを使ってフロントオフィスのエコシステムを統合している。

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