システム開発を内製化するユーザー企業が増える。IT企業がユーザーの要望を理解しないままシステム作りを進めるからだ。こうした不満を解消するには、業務の分かる社員が自らプログラムを作成し、事業の拡大や新規事業の立ち上げに素早く対応するIT化を実現させること。
ユニバーサル・シェル・プログラミング研究所(USP)は、そんなユーザー企業に誰にも容易に使いこなせる独自開発したユニケージ開発手法を提案する。
独自の開発手法を提案するUSP研究所
会計監査などを展開するデロイトグループのカナダ企業であるデロイトLLPのパートナーが10月に開催したガートナーのシンポジウムで、ユニケージ開発手法の採用計画を公表した。「データベース(DB)などのミドルウエアがないものを見たことがなかったので懐疑的だった」同氏は来日し、同手法を利用する日本の金融機関や電力会社、小売業のIT部門責任者らに会って、生産性の高さや処理速度の速さなどを確認し、導入を決断したという。
そのユニケージ開発手法とは、LinuxやUNIXのシェルスクリプトとテキストデータで、約50個のコマンドを使ってアプリケーションを開発するもの。2週間程度の教育を受講すれば、非IT人にも使えるシンプルな仕組みだという。
代表取締役所長を務める當仲寛哲氏は「巨大なプログラムはメンテナンスが大変で、再利用しづらい。試行錯誤も難しいので、小さなプログラムでスピードとアジリティをあげる。スモール・イズ・ビューティフル」(ガートナーのシンポジウム)と、ユニケージ開発手法の優位性を説いていた。
執行役員の清水滝夫氏は「ITの専門家でもなくても、書ける生産性の高い開発手法だ」とし、いくつかの特長を挙げる。1つは、DBが必要ないので、開発・運用コストが安価になること。2つめは、開発期間を短くできること。3つめが、プログラミングが簡単で、業務変革に追随しやすいこと。
なので、システム開発の内製化にも適するという。その1社である東急ハンズのIT責任者に約3年に内製化に踏み切った理由を尋ねたところ、「IT企業に業務内容が正確に伝わらず、手戻りが発生し、開発コストが高くなったり、開発期間が長期化したりした」などの問題を解決するため、業務内容を熟知する社員に開発手法を習得させて、求める機能を早く安く開発できるようにしたという。
ただし、生産性を高め、かつ作成したプログラムを誰もが分かり、改編できるよう、「こう使いなさいという記述統制の“お作法”がある」(清水氏)。結果、4割以上の開発コストを削減した事例もあるそうだ。