パブリッククラウドベンダーを評価しようとしても、ランレートや、XaaSの売上高予測、透明性の低さといった要因が渦巻いているため、一筋縄ではいかない。そこで本記事では、「Amazon Web Services」(AWS)と「Microsoft Azure」、そしてIBMやGoogle、Oracleのクラウドサービスを比較するうえで役立つ情報を紹介する。
AWSは引き続きクラウド分野に君臨している。同社の2016会計年度の売上高は前年の78億8000万ドルから大きく伸びて122億2000万ドルとなり、営業利益は31億1000万ドルだった。
アナリストらは、AmazonのEコマース事業と今後の成長について懸念を述べるだろうが、AWSが営業利益をけん引していることは認識しておく必要がある。2016会計年度に関する以下の数値に目を向けてほしい。
- AWSは売上高が122億2000万ドル、営業利益が31億1000万ドルだった。
- AWSの年間営業利益率は25%を上回っていた。
- Amazonの北米Eコマース事業の営業利益率は2.95%だった。
また、Amazonはランレートではなく、実際の売上高を発表している点にも留意してほしい。クラウドプロバイダーを評価するにあたり、この点でAmazonの透明性に敬意を表したい。Amazonについて述べるべきことは述べたため、大手のクラウドプロバイダー各社がここ数週間のうちに発表した決算報告に基づき、以下でその現状に目を向けていきたい。
当然ながら、AWSはランレートも把握している。Amazonの最高財務責任者(CFO)Brian Olsavsky氏は同社の第4四半期決算の電話会議で以下のように述べている。
われわれは、新興企業から中小企業、大企業、そして公共機関に至るまでの非常に幅広い顧客基盤を築いている。そしてこれらの基盤をまたがって力強い成長を維持している。同事業の年間ランレートは今や、140億ドルに達している。この事業では、顧客のために新たな機能を生み出すことが最も重要だという点について、われわれは以前からしっかりと認識している。
次に、大手クラウドプロバイダー各社の現状に目を向けたい。
Microsoft
Microsoftは法人向けクラウドの年間ランレートが140億ドルに達すると発表した。ただ、このランレートの内訳を見極めるのは一筋縄ではいかない。公式には、法人向けの「Office 365」や、Azure、「Dynamics 365」といったクラウド製品の四半期最終月の売上高を12倍して算出できる値が法人向けクラウドのランレートとなる。ここまではよいだろう。