大久保氏:(APIを開放することで)他社とコストシェアリングできる側面もありますよね。個社別に開発するより、スタートアップとの協業によりそのメリットを享受できますが、そこでAPIの仕様を金融機関が統一していくことがポイントになってきます。
藤井氏:SIerが手がけそうですね。
平手氏:FINOLABで提供されているみずほさんのAPIは、入居されている企業は皆さん使えるのですか。
大久保氏:協業前提であれば手続きを経て提供可能です。
大平氏:新しいアイデアみたいなのが生まれるものですか。
大久保氏:現在5社ほどAPIの接続試験を進めていますが、スタートアップ企業の既存サービスを用いた接続確認がメインです。今後はもちろん、お互いのデータを持ち寄った新規ビジネスの創出などがメインになってくるフェーズだと思います。また、既存の送金サービスでもトレーサビリティの向上により、アンチマネーロンダリングを可能にするなど、API化によるレベルアップはどんどん進んでいます。

渥美坂井法律事務所・外国法共同事業パートナー弁護士 落合孝文氏
落合氏:アンチマネーロンダリングの部分は競争領域でもないので、協調して進めた方が良いのではないかという話ですよね。
地銀では、むしろメガバンクでやっているノウハウを教えてもらいたいという話を聞くこともあります。地銀の方がお金を払ってノウハウを買うみたいなのもあるかもしれないですしね。
大久保氏:今のところFINOLABの中に閉じた形でAPIを提供しているのは、レピュテーショナルリスク(風評リスク)への懸念と、運用の整備が目的です
大平氏:運用が整って、2回くらい回した後に外の方たちと試すところからが勝負かもしれませんね。
藤井氏:APIは金融機能を外の人に利用してもらうことで、新しい仕組みなりサービスが出てくるのを誘発するということに尽きると思うのです。
はじめは参照系の入出金履歴から始まりますが、ニーズに従って他の領域の金融機能をAPI化して開放していくことが回り始めると、さまざまな機能が外に出て、新しいサービスができてくる。現在は、まだ手前にいる段階です。
落合氏:参照系APIだけではなく、更新系APIをというのもあります。
藤井氏:金融APIは入出金だけではなくて、証券、投信、外貨、融資なども可能性があります。金融機関オープン化には、さまざまな可能性があると思っています。
<第5回へ続く>