Microsoftのプレジデント兼最高法務責任者のBrad Smith氏は、同社のオープソースに対する以前の立場が、「歴史の流れに反するものだった」と述べた。
Brad Smith氏
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前最高経営責任者(CEO)のSteve Ballmer氏が2001年に、「Linuxは知的財産の観点から見れば、何にでも取り付くガン細胞のようなものだ」と述べたことは有名だ。その後間もなく、共同創業者のBill Gates氏も、同じ理由から、オープソースGPL(GNU General Public License)は「パックマンのような性質」だと発言したとされている。
Ballmer氏はその後、オープンソースに対する姿勢を和らげている。そして今回、Microsoftがオープンソースと真っ向から対立していた時に、同社の法律顧問だったSmith氏も、オープンソース技術に対する姿勢が間違っていたと認めるに至った。
Smith氏は、マサチューセッツ工科大学(MIT)のコンピュータ科学および人工知能研究所(CSAIL)で行った講演で、「オープンソースが爆発的に拡大した今世紀の初め、Microsoftの姿勢は歴史の流れに反していたし、私個人もそういう考えだった」と述べた。「しかし幸運なことに人生は長く、自分の体験から、変わる必要性を学ぶことができる」(同氏)
もちろん現在、Microsoftはクラウド開発者を念頭に置き、またコード共有サイトGitHubの所有者として、オープンソースに対する姿勢を全く変えている。「Windows Subsystem for Linux」を使用する開発者向けに、「Windows 10」にカスタムビルドのLinuxカーネルを同梱するほどだ。
Smith氏は、「Microsoftは今や、企業として単独で最大規模のオープンソースプロジェクトのコントリビューターだ」と述べた。
「GitHubについて言うならば、オープンソース開発のホームだとわれわれはみている。そしてGitHubを管理する企業として、(開発者のために)安全で生産的な場にすることが当社の責任だと考える」(同氏)
またSmith氏は、IT企業のデータ収集やプライバシーの話題にも触れた。同氏は、2013年に当時の米大統領Barack Obama氏が、Google、Microsoft、Apple、Facebookの幹部に対し、近くプライバシーに関する精査を要求されるだろうと警告したと述べた。
Obama氏は、Edward Snowden氏が米国家安全保障局(NSA)についてリークした後、政府による監視に関して改革を求めていたIT企業の幹部と実施した会議の場で、これらの企業が政府よりも人々に関するデータを多く保有している可能性について認識させたという。
その数年後に数千人規模のFacebookユーザーに影響したCambridge Analyticaのスキャンダルによって「政治的に重大な分岐点」が訪れたとSmith氏は述べた。さまざまな理由から、Cambridge Analyticaの事件で、IT企業が保有するデータの量に人々の注目が集まるようになり、テック企業に監視の目が向けられ始めたと説明した。
さらにSmith氏は、新型コロナウイルスの接触追跡アプリに限界があることにも言及した。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。