思惑絡み合う“会計基準戦争”--日本はなぜIFRSを導入せざるを得なかったのか

斎藤和宣(ディーバ) 2009年09月09日 08時00分

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 前回(「“経営を支える”会計を理解する--『財務会計』と『管理会計』は別モノか?」)は、「連結経営」の基盤としてそもそもの“会計”について整理したが、その計算/認識方法は会計基準として定められている。ところが、この会計基準が世界共通のものでなかったことから、現在見られる会計基準の変遷が生まれてきている。

 われわれを取り巻く会計基準がどのような経緯を辿って現在に至ったのか、そしてどこに向かおうとしているかを日本の視点から改めて確認しておこう。

経理の現場を変えた「会計ビッグバン」

 筆者が会計の世界と関係を持ち始めた約20年前まで遡ってみる。日本の会計基準は戦後まもなく制定された企業会計原則等の会計基準が核となり、企業会計基準委員会の適用指針や公認会計士協会の委員会報告といった実務上の指針が、会計実務に関わる人や監査人にとっての拠り所となっていた。監査で参照する「監査小六法」も、現在のように毎年発行されるほどではなく(名前も現在は「会計監査六法」に変わっている)、数年に一度更新されるだけで、会計基準と関連ルールの量や変更の頻度は限定的なものであった。

 ところが2000年前後から始まった、いわゆる「会計ビッグバン」から今日までの間で日本企業を取り巻く会計基準の環境は大きく変わってきた。それを平たく表現すると、国際間の比較の中で、会計基準の調和を図るための修正や、情報開示面における制度の整合が図られたということになる。

 会計ビッグバンでの一つの大きなポイントは連結中心にシフトしたことである。会計ビッグバン以前の情報の開示は親会社単独決算がその中心を果たし、連結財務諸表が有価証券報告書の添付資料でしかなかった時もあったほどである。

 それが会計ビッグバン以後、開示する財務諸表も、定性・定量の業績説明もグループとしての状況を説明することになり、現場における仕事のやり方は大きく変わった。それまでは、親会社内の各部署から情報を集め加工すればよかったプロセスが、別法人であるグループ会社に広がった点が最も現場の状況を一変させたと考えている。

国際的な調和なのか?

 また「キャッシュフロー」の世界を見ると、従来は親会社だけの資金収支計算書を作成し開示していたが、連結ベースでの「キャッシュフロー計算書」を作成することとなった。そもそもキャッシュフロー計算書の作成自体が経理の現場で定着しておらず、会計士が作成支援を行う場面も多くあったと記憶している。

 そのほか、「退職給付会計」であれば、従来の日本基準では全社員が今退職したら支払うべき退職金の一定割合を負債として計上する方法であったものから、将来どのような退職金の支払いになるかの予測から今計上すべき負債を計算する方法に変わっている。

 さらに「税効果会計」という会計手法が採用されることになり、基本的に実際に納税する金額をもとに計上する方法から、会計上の利益と税務上の利益を計上するタイミングが将来にわたって異なる部分を調整した後の税金金額で計上する方法に変わった。乱暴な表現をすると、申告した(する)納税分を計上する方法から、会計で把握した利益に見合った税金額を計上する方法になったと言える。

 こうした会計基準が見直され、国際的な調和を図ってきた背景を、個人的な推測部分も含めて確認しておきたい。平たく表現すれば、日本企業を見ても分かるように、調達、生産、販売活動は広く世界中に広がっており、それに伴って(人材ではなく)“人財”も世界から調達するようになる。また別の角度からは、資金調達もさまざまな地域で直接/間接金融の形で実施されてきたという事態も見逃すことができないだろう。

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