例えば、昨年4月の東芝のテレビ事業とPC事業の統合は、テレビ事業にPC事業が吸収されたという印象が強い。事業部門のトップ人事や、統合後に発表されたタブレットが「dynabook」の名称を冠したものではなく、液晶テレビの「REGZA」ブランドを冠した「REGZA Tablet」という点でもそれを感じざるを得ない。
また、富士通の携帯電話事業との統合でも、やはり勢いのある携帯電話事業のなかにPC事業が吸収されたという見方をする業界関係者は少なくない。
ソニーでも、先頃の平井社長による事業方針説明において、「モバイル」領域を語るときに「スマートフォン、タブレット、PC」という順番で語られ、PCが最後に示されていたことも記しておきたい。
そして、事業トップにPC事業部門出身の上席副社長を据えた米ヒューレット・パッカードの場合も手放しでは判断できない。
売上高ではPC事業がプリンティング事業の1.5倍の規模となるが、利益では逆にプリンティング事業がPC事業の1.5倍を叩き出しており、収益性の低さを背景にPC事業の再編が取り沙汰された昨年の騒動からすれば、やはりPC事業の位置づけは微妙であるといわざるを得ない。
PC事業の統合は、新たな融合製品を誕生させ、さらにコスト削減効果などを生むのは確かだろう。だが、PC事業が主導権を握ってビジネスを展開できるかどうかは別の話のようである。
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