電気自動車に乗って考えたスマートフォンのこと

三国大洋

2012-09-28 14:23

 お彼岸の週末に生まれて初めて電気自動車(EV)に乗った。

 折からのiPhone 5とiOS 6のリリース——特に後者のアップル製地図サービスをめぐる騒動もあって、ドライブ中にスマートフォンのことを考えさせられることが何度もあった。

 今日はいつもと少し趣向をかえて、スマートフォンについて考えたことをいくつか記してみる。

電気なければタダのナントカ

 普段はだいたい決まったパターンの生活をしているせいで、スマートフォンを使っていても想定外の出来事に遭遇することはあまりない。

 私の場合はコンピュータの画面に向かって文字を読んだり書いたりしている時間が長く、スマートフォンもそうした情報摂取の窓としての役割がもっぱらとなっている。一方で、知らない場所に出かけるのに地図アプリを利用したり、あるいはバッテリの残り時間を気にしたり……といった機会はあまりない。

 そういう人間からすると、スマートフォンの新しい機種についての話題などを扱う場合などに、お約束のように出てくるバッテリの駆動時間の話なども、実はそれほど切実さを感じていなかった。今回EVでちょっとした遠出をしてみて、改めてそうしたことに気づかされた。

 電気がなくなってしまうと「無用の長物」と化す——その点はスマートフォンもEVも同じだ。

 ただし、スマートフォンならしばらく利用を諦めてカバンの中にでも放り込んでおけば、少なくとも行動の自由が制約されることはない。それに対し、EVの場合はそう簡単にはいかない。1トン近く(?)ある大きな塊を抱えて、身動きがとれなくなる。この理由から、EVでのドライブでまっさきに痛感させられたのが「電源の確保」という問題であった。

 今回の遠出には、ちょっとした用事を足すという目的があった。その点で「純粋なドライブ」というか「行き当たりばったりでも済む試乗」とは少し事情が異なっていた。過去に何度も行ったことのある目的地までの走行距離はおよそ120キロ。ただし、そのうちの100キロほどがほぼ平坦な高速道路で、最寄りの高速入口へも通常なら10分程度(の市街地走行)で着けることはわかっていた。さらにウェブで下調べをし、高速を降りたところからほど近い場所に急速充電装置を備えたカーディーラーがあることもわかっていた(そこを利用して、さらに遠くの避暑地まで出かけた人の「試乗記」も読んでいた)。

 後から「なんというチャレンジ(=無謀な試み)」云々と人から言われたが、本人としてはかなり入念に準備し、「大丈夫だろう」とあたりをつけて出かけたドライブだった。

 後から思うと、年に1、2度しかクルマで出かけることのない人間が「EVで遠出する」ということ自体がそもそも無謀、といえなくもない。いわゆる怖い者知らずだからできたことだ。

 なお、今回借りたのは日産のリーフで、クルマ自体の操作性や乗り心地は、ここであまり書くこともあるまい(過去に何度も乗ったことのあるハイブリッド車とそれほど大きな違いは感じられなかった、と書けば、おおよそのことは伝わるかと思う)。また、たまにしかクルマに乗らない人間なので、最近のクルマに戸惑うことも少なくない(操作系統のスイッチ類など、細かな点がわりと大きく変わっていたりするため)が、このクルマにはそうした点も少なく、案外運転しやすかった。もっとも、ハードウェアスイッチとタッチ式のソフトウェアボタンが混在するカーナビの操作系=UIには、いまだにまごつくことが多いのだけれども。

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