「忙しいからできなかった」が、対外的な言い訳になる場合もある
例えば、筆者の会社が後処理を請け負った案件の1つとして、次のようなものがありました。この案件では、日本側は、まずベトナム側と「業務提携」の契約を結び、その後、初回の力試しとして簡単な案件をベトナム側へ提示しました。日本側は繁忙期であった上に、ベトナム側の社長が元日本留学生ということもあり、あえて締め切りを設けず、「時間のある時に徐々にシステムを改修し、逐次日本側へ報告する」という段取りにしたそうです。
その結果、ベトナム側からは、「いま忙しいので、また改めて実施します」という回答ばかり。結局、業務が全く進まず、当該案件はものの見事に空中分解してしまったそうです。
ベトナムにおいては、「忙しいから……」という理由が、業務上、かつ、対外的な立派な言い訳になることがあります。こうした文化の違いには、注意が必要です。トラブルの基は、「日本とベトナムは、似ているけれども違う国」という基本的なルールを忘れたところからくることが多いようです。
次回に続く話題でもありますが、「分からないから専門家に任せる」ことで一安心とするのではなく、「可能な限り自分で情報収集して事に当たる」ことをぜひ忘れずに、ベトナム企業との付き合いを始めていただければと思います。
次回は、ベトナム現地へ進出する際の留意点について考えていきます。
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- 古川 浩規
- インフォクラスター
- 文部科学省で科学技術行政等に従事したのち、平成20年に株式会社インフォクラスター、平成22年にJapan Computer Software Co. Ltd.(ベトナム・ダナン市)を設立。情報セキュリティコンサルテーション、業務系システム構築、オフショア開発を手掛けるほか、日系企業のベトナム進出に際して情報システム構築や情報セキュリティ教育等を行っている。資格等:日本セキュリティ・マネジメント学会 正会員、情報セキュリティアドミニストレータ、日本・ベトナム文化交流協会理事