セールスフォース・ドットコムの代表取締役会長兼最高経営責任者(CEO)に、日本ヒューレット・パッカード(HP)前社長の小出伸一氏が就任。4月16日に都内で会見した。
会見には、米Salesforce.com 取締役社長兼副会長のKeith Block氏、取締役相談役に退いた宇陀栄次前社長、取締役社長兼最高執行責任者(COO)に就任した川原均氏も出席。日本法人で売上高1000億円、従業員数2000人の規模を目指す中期計画も公表した。
セールスフォース・ドットコム 代表取締役会長兼CEO 小出伸一氏
デマンドを作り上げるのがSalesforce
小出氏は「正直な気持ちを言うと、世界で最もイノベーティブな企業に参加できたことは光栄なことだと思っている。売上高1000億円、従業員数2000人という目標は、新たな経営体制で必ず達成できると考えている」と自信を見せた。
小出氏はSalesforceという企業について「30年間ICT業界で働く中で、ここ数年Salesforceの経営理念は魅力的だと感じてきた。顧客の成功にフォーカスし、顧客にイノベーションを与え、顧客とともに成長をしていく。これは私と同じ思想、理念であり、魅力的に感じた」と感想を語った。
「(CEOの)Marc Benioffのリーダーシップも魅力であり、彼が語っているのは、Salesforceが目指すのは、ITの新たなデマンドをクリエイションすることである。Salesforceの大きな特徴は、人事(ヒューマンリソース)部門という呼び方がなく、“Employee Success”という呼び方をしている点。従業員一人ひとりが輝き、従業員の成功を支援する企業であり、これを実現しなければ、日本法人も1000億円、2000人という会社にはならないだろう。米Fortune誌によると、Salesforceは働きがいのある企業として7位に選ばれている。魅力的な会社にし、従業員が生き生きと働く企業を目指していきたい」(小出氏)
会見の後で開かれたパートナー企業向け懇親会では小出氏があいさつした
日本法人の位置付けについて小出氏は「グローバル企業の中でいかに日本流といえるものを打ち出すことができるかが大切である。業界の視点に立ったソリューションの提供が必要である。その点でパートナーシップが重要になる。これまで以上にパートナーとのアライアンスを強化したい。日本らしさとグローバライゼーションを融合させたい」と説明し、意欲を見せた。
新体制について「グローバルのチームから日本への投資を引き出す一方で、新たな仕組みとして、CEOである私に報告ラインを集約する形にしてもらった。これにより、日本で判断ができる仕組みとなり、市場の変化にあわせて意思決定が迅速化できる」と小出氏は今後を見通した。
小出氏は“第2ステージ”という言葉を使い、「セールスフォースのビジネスはデマンドを作り上げるものである。顧客のイノベーションと成長を支援するという企業はほかにない。これから重要になるのは、マーケットシェアの奪い合いではなくて、新たな世界に入っていくこと。これがIT業界に求められている。新たなデマンドをセールスフォースで作り、日本のIT産業の貢献につなげたい」と述べた。
セールスフォース・ドットコム 取締役社長兼COO 川原均氏
プライサーを日本に
取締役社長兼COOの川原均氏は「私は、大きな時代の変わり目や流れの変わり目に自分で成すべきことを成せるかということを考えてきた。40年間続いたコンピューティング技術が、インターネットやIoT(Internet of Things)といった新たな技術の中で新たな流れを作っている。必要なのはイノベーティブであることだ。顧客は短期間で新たなシステムを作るといったことを求めている。グローバル化の中で日本からグローバルスタンダードを発信していくということも関心を集めている」と現在の環境を説明した。
川原氏は「こうした変化に対して、リーダーシップが求められており、ここにどう貢献できるかが重要である。そのためには、日本の市場にあった決定を日本のチームが素早く判断し、グローバルチームにサポートしてもらうという仕組みの構築が必要である」と話し、以下のようなことを明らかにした。