すべてをクラウドに--Days Tokyoに見るオラクル新製品の要諦 - (page 2)

大河原克行

2014-10-22 16:55

1行もコードを変更することなく既存資産を移行

 日本オラクル 専務執行役員 データベース事業統括の三澤智光氏は、「Oracle OpenWorld 2014 SanFransico最新テクノロジーの紹介」としてOpenWorld 2014での発表内容を解説した。

三澤智光氏
日本オラクル 専務執行役員 データベース事業統括 三澤智光氏

 三澤氏は「プラットフォームが変わっても、SQLシステムを書き換えなくても済むというのが、長年に渡るOracleのコンセプト。第4世代のクラウドになってもそれは同じで、ボタンひとつでオンプレミスとクラウドへ移行。1行もコードを変更することなく既存資産を移行できる。これを“Move it to Cloud”という言葉で表現している」として、「2014年はOracleにとって大きな転換点になるとEllisonは述べた。それはクラウドに対して投資していることを指す」とした。

 三澤氏は「調査によると、1年前には興味がないという人が13.7%を占めていたコンバージドシステムは、1.0%にまで減少した。われわれが提案したEngineered Systemでハードとソフトを融合するというコンセプトが一般的に受け始めた」とし、野村総合研究所が投信窓販口座管理システム「Bestway JJ」でExadataを活用。全日本空輸では顧客サービス向上のためのメール配信システムにExadataを活用している例などを紹介した。

 Zero Data Loss Recovery Applianceについて三澤氏は「通常のバックアップではデータ損失のリスクがあり、データ破損からの復旧にも課題がある。データ損失、データ破損に対応した唯一のアプライアンスになる」とメリットを強調した。

 RISCプロセッサの最新版となる「SPARC M7」については、「Sun MicrosystemsがOracleに買収されるまで“SPARCは大丈夫か”と言われていた。旧Sunの技術者は優秀な人が多いが、お金がなかった。それがOracleの研究開発費を利用することで、いよいよSPARCが大きく進化した。これがOracle Databaseに最適化することで、他社が追いつけない性能を発揮する」と語った。

 セキュリティ関連として「Oracle Database Security」を説明した。「職務分掌ができる仕組みを提供しているのはOracle Databaseだけである。Database Vaultで実現しているもので、データベース管理者からの機密情報の閲覧を遮断できる。データベースの暗号化、伏せ字化を可能にしながらも、アプリケーションを改変しなくて済むこと、ソフトウェアオンシリコン(SoC)で性能劣化をほぼゼロにすることにも成功している。システムログの一元管理と不正アクセスの早期検知で異常操作を発見、警告することもできる」とした。

 ビッグデータについては、スペインのCaixaBankの導入事例について説明。顧客属性情報と購買、行動履歴を活用したリアルタイムオファリングの効果を解説した。「ビッグデータでは、Hadoop上のアプリケーション開発とRDBMS連携が困難、Hadoopの脆弱なセキュリティに依存しなくてはならないという課題、Hadoopの技術では性能要件を満たせないという問題があるが、Big Data SQLではこれらの問題が解決できる」と説明した。

杉原博茂氏
日本オラクル 代表執行役社長兼CEO 杉原博茂氏

2015年で創立30周年になる日本オラクル

 基調講演の前に挨拶した日本オラクル代表執行役社長兼最高経営責任者(CEO)の杉原博茂氏は、米サンフランシスコで先頃開催されたOpenWorld 2014の概要を説明。「ホノルルマラソンの参加者が約3万5000人に対してOpenWorld 2014の参加者は約6万人。これだけの人がサンフランシスコに集まった。創業者であるLarry Ellisonが、CTOになって初の基調講演で吼えに吼えまくった。私は、EllisonをIT業界最後の暴れん坊と呼んでいるが、米国のメディアも楽しそうで、技術をデモストレーションするEllisonの様子を報道した」と解説した。

 「Oracleは、594のSaaS製品を用意しており、そのうち、今回のOpenWorldでは、225の新たなSaaSの機能を発表した。“Oracleは買収ばかりをしているのではないか”と言われるが、研究開発費に売上高の13%、年間49億ドルを投資している」と話す杉原氏は、以下のように同社の立ち位置を表現した。

 「データベースだけの会社ではなく、アプリケーション、ミドルウェア、サーバ、ストレージといったポートフォリオを持っている。これらのすべてのサービス、テクノロジをクラウドにするというのがOracleの戦略である。Oracleは37年の歴史がある一方で、日本オラクルは2015年で創立30周年を迎える。クラウドで一番になるという気持ちを込めて、新たなロゴを用意した。2020年には、クラウドといえばOracleと言われるようになりたい」

新しいロゴ
新しいロゴ

 Oracle Days Tokyo 2014は、「クラウドで切り拓く最先端ビジネス~Modern Business in the Cloud」をテーマに9月に米サンフランシスコで開催されたOpenWorld 2014でのさまざまな発表を受けて、日本での取り組みなどについて紹介する。基調講演のほか、企業のリーダーたちによるパネルディスカッション、最新のテクノロジや製品、事例に関する40以上のセッションが用意されている。

 初日は、Technology Dayとして、最先端ビジネスのための最先端テクノロジやEngineered Systemsなどの最新製品を紹介。2日目は、Cloud Dayとしてソーシャルやモバイル、ビッグデータといった潮流を捉えたクラウド活用法の提案にフォーカスする。

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