Amazon
Amazon自身が、詐欺行為の検出やレコメンデーションサービスなどで自社の機械学習システムを使っていると聞いても驚く人はいないだろう。その実際に使われているコードが、「Amazon Machine Learning」(Amazon ML)サービスとしてAWS上で利用できる。Azure MLと同様に、モデルの作成のための視覚的なツールが提供されており、データ管理のためのツールも用意されている。
Amazon MLではAmazonのさまざまなストレージサービス上に保存されているデータを利用でき、これにはクラウドストレージの「S3」や、クラウドデータウェアハウスソリューションである「Redshift」も含まれる。トレーニング用のデータセットを持ち込み、適切なスキーマやターゲットを選ぶことができる。学習モデルはターゲットデータの種類に応じて選択され、データセットに基づいて自動的にモデルが構築される。モデルをチューニングするためのオプションも用意されているが、まずはデフォルトのモデルから始めるのがいいだろう。テストではトレーニング用データが70%と30%に分割され、30%のデータは評価用に使われる。テスト結果では、結果が表示されるだけでなく、どの入力値が結果にどの程度影響しているかも示される。テストが終わると、このモデルをデータセットに対するバッチ予測や、リアルタイムデータフィードに対する継続的な予測に利用できるようになる。
どちらのオプションにもAPIが用意されており、コードの中からこのAPIを呼び出すことになる。Amazon MLには無料トライアルは用意されていないが、開発で利用するには十分に低価格であり、本番環境での利用に耐える堅牢さを備えている。モデルを作成した後は、視覚的なツールを使って、実際のニーズに応じて、誤判定や見逃しを少なくするためのチューニングを行うことができる。またAmazonは、一般的な開発環境やプラットフォームで同社のMLツールを使ったアプリを簡単に作るためのSDKのセットを提供している。
IBM
IBMの「Watson」はテレビのクイズ番組に回答者として登場したことでも有名だ。IBM ResearchはWatsonを、IBMが「コグニティブ(認知)サービス」と呼ぶさまざまなサービスとともに、IBMのクラウドプラットフォーム「Bluemix」上に移した。Watsonは自由な形式の機械学習ツールというよりは、あらかじめ用意されたソリューションに重点を置いており、「Watson Developer Cloud」が、アプリケーションからサービスを利用するためのエンドポイントとなる。これを利用して、自然言語処理ツールや、アナリティクス、認知ツールなどを簡単に追加することができる。