ソーシャルメディア分析ツール「クチコミ@係長」や、ネット上の風評被害対策サービス「e-mining」などを提供しているホットリンク。そのバックボーンには日本中のオンラインソーシャルデータの収集、流通があるが、最近ではグローバル化の動きも顕著だ。同社の代表取締役社長 兼 最高経営責任者(CEO)である内山幸樹氏に、同社の取り組みや特徴、今後について聞いた。
――ホットリンクとはどんな企業か。

ホットリンク 代表取締役社長 兼 最高経営責任者(CEO)である内山幸樹氏
ホットリンクはツールの事業とデータプラットフォームの事業の大きく2つに分かれています。ツールの事業ではクチコミ@係長とe-miningを提供しており、マーケティングやリスクモニタリングといった分野になります。データプラットフォームの事業では、事業者に対して、ソーシャルビッグデータのデータ供給や、分析するインフラを提供しています。
ソーシャルメディアのビッグデータ活用領域は、ネット選挙解禁の際の政治や金融トレーディング、データジャーナリズム、マーケティングなど、あらゆる産業に広がってきています。その各分野の事業者に対してデータを提供しています。さらに、米国のソーシャルメディアデータを提供する「Effyis(サービスブランド名Socialgist)」を買収することで一気にグローバル市場でのデータプラットフォーマーの位置付けに拡大していくというのが現状です。
ソーシャルで累積したビッグデータの市場は、3つのレイヤがあります。TwitterやFoursquare、Facebookといったデータを持っている「メディア」、IBMやOracle、Salesforceといった、データを活用する「ベンダー」、そしてその間でソーシャルビッグデータを流通する「プレーヤー」がいます。ソーシャルビッグデータの流通市場が大きく変化しています。例えば、全世界でTwitterのデータ販売できるのは世界で3社しかなかったのですが、そのうちの1社である「Topsy」という企業がAppleに買収されました。
そしてAppleは、Twitterデータの販売を中止させました。これを受けてTwitterは、Twitterのデータを世界で流通する経路が止められてしまうことを危惧し、ソーシャルネットワークのデータを提供する「Gnip」という会社を買収しました。すると今度は、FoursquareなどのTwitterの競合メディア企業が「Twitter傘下の会社にデータ流通を握られるのは怖い」ということで、別のニュートラルな2社にデータ流通を任せようということになったのです。

このように業界が動いている中で、非常にユニークなのがわれわれが買収したSocialgistです。世界中のソーシャルメディアのデータをクロールしてベンダーに提供しているのですが、世界で唯一中国のソーシャルメディアデータの販売権を持っています。